川崎は日本の縮図?

神奈川県川崎市と聞いて思い浮かべるものはなんでしょうか。東京と横浜の間にある都市であり、工場が立ち並んだ労働者の街といったイメージがあるでしょう。さらには、2015年に発生した川崎市中1男子生徒殺害事件などにより、負のイメージを持っている人もいるかもしれません。

北と南に分かれている

川崎市は南北に細長い地形をしています。北部は三多摩地区にも隣接する場所で、ニュータウンが開発されています。その一方で南部は工場地帯が立ち並ぶ場所として知られているでしょう。同じ川崎市といっても北と南でその世界が大きく異なるのです。そのような川崎のモザイク状の様相にルポルタージュとして迫った本が磯部涼による『ルポ川崎』(サイゾー)です。

音楽と文化と

著者は音楽をフィールドとするライターです。そのため本書に出て来る人物たちは、音楽がベースとなっています。成り上がるためにラップを選んだ男、リアルなアンダーグラウンドの犯罪に手を染めて刑務所を行き来する男、日本だけでなく在日韓国・朝鮮人、在日ブラジル人など複数のエスニシティの中で生きる人々などが登場します。こうして見ると川崎は人種のるつぼともいえるかもしれません。これは現在、そしてあるいは将来の日本の縮図になるのではないでしょうか。著者は毎週ごとに東京から川崎へ通う生活を続けてきました。東京からわずかな時間で行けるのに、まったく異なる世界が川崎にあるのだと知ることができる一冊です。