川崎とは何かを考える

川崎市は、多摩川を隔てて東京都に接する場所です。さらに横浜市とも接しています。さらに川崎は海岸線から、多摩川に沿って横に長く行政区画が伸びており、奥まったところには丘陵地帯を切り開いたニュータウンがあります。海沿いの川崎は労務者の町であり、工場地帯ですが、ニュータウンはまったく趣が異なっています。


事件の町?

川崎と聞いて思い浮かべるイメージはなんでしょうか。10代の少年たちが中学生の少年を殺してしまった事件や、簡易宿泊所の火災によって生活保護を受けていたお年寄りが多数亡くなるといった社会の暗部を映し出すような場所といったイメージがあります。そうした川崎の姿は本当なのか、それにルポルタージュの手法で迫ったものが磯部涼による『ルポ川崎』(サイゾー)です。著者はもともと音楽、特にヒップホップやラップなどを専門とするライターです。川崎在住のミュージシャンへのインタビューのほか、著者は人と人とを介するようにヤクザ、ドラッグ、売春、人種差別といったテーマにも挑んでゆきます。

社会問題のサラダボウル?

アメリカは人種のるつぼといわれますが、実際にはそれぞれの人種が異なる場所に分かれて住んでいるサラダボウルだといわれます。これをもじっていうならば川崎は、社会のダークサイトなトピックがサラダボウルのように並べられているといえるかもしれません。東京や横浜の隣にありながらも、決して両者と似通ったところのない、川崎の現実を浮き彫りにしたものが本書です。同時にそれはすでに訪れている、豊かさや安全を保障された場所からかけ離れた現在の日本の姿であるともいえるかもしれません。

    
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