熱い時代を現在をつなげる

2018年は、1968年から50年目の年として話題になっています。1968年は世界中で学生運動、社会運動、あるいは芸術の嵐が吹き荒れたと言われています。1968年の記憶は現在に至るまで受け継がれ、ことあるごとに回顧されています。しかし、それらはすべて過去の思い出なのでしょうか。もう、あのような時代はやってこないということなのでしょうか。

今とつなげる

あの時代を回顧するにあたって必要なものは、今とどうつながっていくのか。自分たち、特に若い世代がどう受け止めていくのかといったことではないでしょうか。その時、2018年秋に公開された白石和彌監督による『止められるか、俺たちを』は、重要な作品と言えるでしょう。本作では2012年に亡くなった若松孝二監督と、若松プロに集った足立正生や荒井晴彦など、実在の人物を若い役者たちが演じています。鬼監督でありながら憎めないキャラクターの若松監督のほか、酒場での乱闘など実際のエピソードが多く盛り込まれています。

夢中であった

本作は、あの時代を懐古的に捉えたものではありません。パンフレットとして作られた同名の書籍『止められるか、俺たちを』(游学社)にはその思いが詰まっています。例えば音楽を担当した曽我部恵一は、もともと70年代文化に興味があり若松監督の熱心なファンだったといいます。曽我部にとって若松映画の魅力とは、既存の大手の映画会社に所属しない、独立プロダクションとして映画を次々と作り、時に妥協などとも戦いながら、それでも食ってゆくといった姿勢です。さらに、若松監督は反権力的なスタンスの映画を多く作っていましたが、その敵のデカを曽我部は「独り相撲」と形容します。言い得て妙だと言えるでしょう。それでも一様に大人しくなってしまった現代の人々が、なくしてしまった何かがあるのは確かです。アツいことに憧れる人は必見の一本と一冊です。