映画を観ると世界が見える! 映画評論家・町山智浩氏の魅力とは? 

みなさん、「映画評論家」と聞くと、誰を思い浮かべますか? おすぎさんでしょうか? 淀川長治先生でしょうか? 水野晴郎さんでしょうか? それとも、誰も浮かばないでしょうか。

今の日本では、「映画評論家」は絶滅危惧種の職業と言うことができるでしょう。映画ライターや映画パーソナリティや、映画評判家を名乗る人々は、数多くいるのにもかかわらず、真正面から「映画評論家」を肩書きに据えて、活動をする方は非常に少なくなっています。

かつてのテレビ映画番組では、番組冒頭と番組エンディングに、映画の見方を教えてくれ、放映した映画の監督がどんな考えの持ち主なのか、を語り聞かせてくれる映画評論家がいました。しかしながら、今のテレビ番組ではそのようなポジションで映画を論じてくれる人をほとんど見かけません。映画評論家の話を聞くと、映画の見方がわかり、映画のみならず、その時代背景や社会問題までもが明らかになります。

映画を知ると、世界が見えて来るわけです。その手伝いをしてくれるのが、映画評論家だと筆者は考えています。今回は、レッドゾーン職業とも言える映画評論家で、現在、アメリカ在住の町山智浩さんを紹介します。彼の話を聞くことで、映画が何倍にもおもしろく見えることを保証します。映画評論家、町山智浩さんの魅力に迫ります。


膨大な映画知識だからこそできる映画評論

あなたは、小さい頃に家で観ていたテレビのひとこまを明確に、正確に今でも思い出すことができるでしょうか? たいていの場合、その映像は記憶の奥底に眠っていて、ぼんやりとしか思い出せません。しかしながら、町山さんは過去に観た映像を明確に正確に覚えているのです。

かつて町山さんのPodcast番組にて「トラウマ映画」という企画をなさっていました。この企画は、「忘れられないんだけど、思い出せない映画」をリスナーから募り、その映画の評論を町山さんが行うというもの。

子供の頃にテレビでふと観た映画のワンシーンが、とても怖くて今でも忘れられないが、タイトルが思い出せないという経験がみなさんにはありませんか? そんな忘れられないワンシーンをメールでリスナーから募り、その情報だけで、町山さんは、たとえば、「それは1978年の7月放送の水曜ロードショーで放送されたあのという映画ですねぇ」とばっちりとその映画を当ててしまうわけです。

この超人技とも言える映画の記憶力を持って、日本映画・香港映画・ハリウッド映画の域を縦横無尽に飛び回り、評論をなさるのです。とりわけその姿は、“映画探偵”とでも評すべきありさまです。

映画好きでも覚えていない映画をほとんどすべてチェックしていた少年期があるからこそ、たとえば、「あのシーンは、あの映画のパロディだ」だとか、「この監督は、あの映画に影響されて作ったんです」と映画を分析してくれます。町山さんの映画評論の魅力は、その知識量にあると言えるでしょう。

映画を観ると、世界が見えて来る

「自由に感じれば良い、と言う映画評論家はダメだよ!」とは、町山さんが頻繁に口にする映画評論家評です。現在、日本で活躍している映画評論家には、このように観客が自由に感じたまま映画を観るのが良きこと、と言う方が多くいらっしゃいます。

町山さんは、その映画評論のスタイルに異議を唱えています。映画は、脚本があり、もちろん、監督がいて、脚本と監督が意図する演出があってこそ、映画足りえるのです。なので、映画のワンシーンワンシーンにはそれぞれ監督の意味が込められていて、どれだけ不可解なシーンであっても、確実に“意図”があって作られている、というのが、町山さんの考えです。

また、観客が映画を観て理解できなかった部分を補完するのが、映画評論家の仕事だとも仰っています。さらに、何気ない映画の設定やストーリーには、その時代性や社会問題が隠されているので、それを観客に示すのも仕事だと仰っているのです。

映画を映画として楽しむだけではなく、映画を観ることで世界が見えて来たり、現代社会が見えて来るのが、町山さんの映画評論における最大の魅力だと筆者は考えています。映画を何倍も楽しむためには、もう町山さんの評論が欠かせなくなっているほどです。

今まで町山智浩さんを存じ上げなかった読者のみなさんは、TBSラジオ「たまむすび」にて毎週登場する町山さんの映画紹介コーナーをお聴きになることをお勧めします。毎回20分ほどで1本の映画を知ることができるだけでなく、映画監督について、社会情勢について、実に幅広い知識を身につけることができます。一度、騙されたと思って、「町山映画評論」を体験してみてはいかがでしょうか?

    
コメント