福山雅治主演作「真夏の方程式」が泣けない理由! 欺瞞を感じるストーリーとは?

「最近、ヤバいらしいよ」という噂を耳にするフジテレビは、今年の春ドラマでは局を上げての「ウナギ、のっぼ〜り」というコピー通り、視聴率が好調でした。そんなフジ春ドラマのなかで特筆すべきは、平均視聴率19.9%をたたき出した福山雅治主演の「ガリレオ」でしょう。

最終エピソードのゲストには復帰後初テレビ出演の天海祐希が登場とあって、話題性も抜群! 勢いづいた状態で、劇場版2作目「真夏の方程式」公開の6月末を迎えられたわけです。先日、公開間もない劇場に足を運んだ筆者は、驚愕しました。劇場は、平日にも拘らず、老若男女、実に多種多様な観客でびっしり。満員御礼ではないにしろ、ドラマ・広告の宣伝効果は、「真夏の方程式」を超話題作に成長させておりました。

映画終盤、劇場はすすり泣く観客の鼻水の音もちらほら聞こえます。感動作だからこそ、お客は泣いておるのでしょうが、筆者はまったくと言って良い程、感動できないでおりました。感動作に見えて、実は涙なんて流せないストーリーだったのです。今回は、「真夏の方程式」でなぜ筆者は泣けなかったのか? その理由を中心にこの作品の「ダメなところ」を紹介致します。観る前でも観た後でもかまいません。是非、ご一読くださいませ! 


「真夏の方程式」に見所はたくさんある! 

本作の見所のひとつなのが、ヘンクツ物理学者・湯川学扮する福山雅治と子供のふれあい。先日、カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した福山雅治主演作「そして父になる」も福山雅治と子供が登場するストーリーです。「俳優・福山雅治と子供」のツーショットは、非常に画になり、映画館の巨大なスクリーンで見ても、とても身心地の良いものでした。

他にも、脇を固める風吹ジュン・前田吟・白竜と、登場しただけでストーリーに説得力を持たせてくれる俳優・女優の存在は、「真夏の方程式」の見所として評価されるべき点だと思います。

しかしながら、これらの見所を一瞬にして打ち消してしまうポイントがあるのです。しかも、そのシーンが登場するのは映画の終盤。これからクライマックス! というところで、鼻を折られてしまい、感情移入ができず、筆者は、突然ストーリーから置いてけぼりを食ってしまいました。

見所をすべて消し去る欺瞞

「真夏の方程式」はミステリーです。ミステリーに欠かせないのが、謎解き。そして、事件の動機です。謎解き部分は、福山雅治の魅力と湯川学のキャラクターで、かっこよく拝見できました。さらに、事件の動機については、真犯人がそれを語るのですが、その姿・殺人事件に隠れた悲しいストーリーには感動でき、心を充分に動かされる内容となっていたのです。

ミステリーに欠かせない「謎解き」と「動機」が充分に描かれていて、観客である筆者の心はスクリーンに持って行かれていました。しかし、「動機」が語られた後、がまったくもっていただけなかったのです。

真犯人には、殺人事件を犯さなければならないとてもとても悲しい物語がありました。しかし、その殺人事件に“ある人物”を巻き込んでしまうのです。ここでは、ネタバレになってしまうので、“ある人物”としか記しませんが、この行動は、誰がどう見ても許されるべき行為ではなく、人間として酷すぎる行為なのです。

にもかかわらず、その酷すぎる行動は描かれず、殺人事件の動機の部分、つまり、どれだけ悲しいストーリーが裏に隠れていたのか? だけを描き、観客に「お涙ちょうだい!」しているのです。

人間として、絶対的に酷い行動をとってしまった真犯人が、劇中でそのことについて、きちんと責められたなら、話は別です。「動機」と「犯罪」を観客は、同時に受け入れることができます。観客を感動させるためだけに描かれたセンチメンタルなシーンの影に、「真犯人の酷さ」を完全に、そして、意図的に隠しているこのストーリーは、欺瞞としか言い様がありません。

筆者は、別段、「映画の中でも必ず罪は償われるべきだ」なんてな常識を盾にこのストーリーを批判している訳ではありません。「観客を感動させるためなら、なんでもありなのかよ!!」と怒っているだけなのです。

フェアな視点を持っている観客の方なら、劇場内で同じことを思ったはずです。終盤に訪れるこのシーンのせいで、突然心が離れて行った方も少なくないでしょう。「感動を描くなら、汚い部分もきちんと描かないと、そこにリアリティは生まれない」ということです。

前述したように、この「真夏の方程式」には非常に良いシーンもたくさんあります。120分強に渡る映像すべてが、最低な作品とはまったく思っていません。良いシーンがたくさんあるからこそ、最後の最後で味噌はつけてほしくなかったという思いです。その点で、非常にもったいない作品と言えるでしょう。もしも、次回作があるのならば、欺瞞を感じさせないストーリーで真っ向から勝負していただきたい、と心から期待できる作品でした。

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