1960年代のジャズ文化とは?

1960年代から70年代にかけて、日本の都市部には多くのジャズ喫茶がありました。ジャズ喫茶は普通の喫茶店とは異なる文化を形成していたことで知られます。


私語厳禁だったジャズ喫茶?

ジャズ喫茶の特徴といえば、私語厳禁ということでしょう。喫茶店といえば友人との気ままなおしゃべりがイメージされますが、ジャズ喫茶はあくまでもジャズを聴く場所であり、おしゃべりをしながらではジャズはわからないといった、美意識があったのです。ジャズは難解で高尚なものといったイメージがありますが、それはこの頃のジャズ喫茶のイメージとも重なるものがあります。

中上健次とジャズ

中上健次『路上のジャズ』(中公文庫)は、中上健次のジャズに関するエッセイや小説、インタビューなどを取りとまとめたものです。中上健次は、1960年代なかばに、和歌山県の新宮市から上京し、新宿の街へ迷い込みます。大学浪人という名目ではあったのですが、仕送りを受けながらジャズ喫茶通いを続けます。そこでアルバート・アイラーや、ジョンコルトーレンといった破壊的なジャズに出会い、さらに当時の新宿にまん延していたフーテン文化の洗礼を受けます。

ジャズ小説

本書の中で注目すべきは小説「灰色のコカコーラ」が収録されていることでしょう。中上健次の文学といえば「19歳の地図」に代表される初期の青春小説、さらに故郷の新宮市の路地を舞台とした小説群がよく知られています。「灰色のコカコーラ」はジャズにおぼれながら、あてのない日々を送る若者の姿が描かれています。中上健次の作品の中でもかなり時流を反映した一作だといえるでしょう。1960年代から70年代にかけてのジャズ文化を知るのに最適な一冊だといえます。

    
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