ロッキング・オンと投稿文化

ロッキング・オン社といえば、「ロックインジャパンフェスティバル」や「カウントジャパンフェスティバル」など、音楽フェスを主催する興業会社というイメージが強いです。ですが、かつては『ロッキング・オン』『ロッキング・オン・ジャパン』といった雑誌を出版する音楽出版社でした。これらの雑誌は現在も刊行されており、ロッキング・オン社は興業会社と出版社という2つのフィールドをあわせもっているのです。


最初はミニコミだった?

大規模な会社となっているロッキング・オンですが、最初はわずか4名ではじめたミニコミ雑誌がもとになっています。その創刊メンバーの一人である、橘川幸夫が初期ロッキング・オンを回想した本が『ロッキング・オンの時代』(晶文社)です。本書には音楽的な要素よりも、ミニコミ雑誌が全国流通の雑誌に拡大してゆくメディアとしての側面に重きが置かれています。『ロッキング・オン』は著者の父親の印刷所で印刷されていました。当然予算がないので、写真植字の技術は著者自身が取得して少しでも制作予算を減らそうと苦心するさまが描かれています。

投稿雑誌への注目

さらに『ロッキング・オン』は編集部員による原稿とともに、読者からの投稿原稿も掲載されていました。投稿メディアに注目した筆者はやがて宝島社から『ポンプ』という全面投稿型の雑誌を刊行することになります。この雑誌には岡崎京子や尾崎豊、デーモン小暮が常連投稿者として名を連ねることでも知られていました。『ロッキング・オン』の歴史もさることながら、80年代の投稿雑誌文化の一端を知ることができるのも本書の魅力だといえるかもしれません。いまならインターネットで誰もが情報を発信できる時代です。さらに文字だけではなく、写真や音楽、動画といったものまでマルチに配信できますが、かつてはその機能を雑誌が果たしていた時代があったのです。

    
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