ナム・ジュン・パイクの評伝本に込められた愛

2013年に平凡社から刊行されたナム・ジュン・パイクの評伝は大推薦作です。


アーティスト同士の恋愛

ナム・ジュン・パイクは世界的に知られたビデオアーティストです。映像を使って芸術作品を作るという行為は今なら当たり前のことかもしれませんが、彼が活躍した1960年代には家庭用のビデオレコーダーはありませんでした。

ナム・ジュン・パイクは工学書を読み込み、テレビに特定の映像を表示させたり、ノイズを出したりする技術を習得していました。スイッチ1つで映像が撮れる、加工できる時代ではなかったのです。

そんなナム・ジュン・パイクの結婚相手となったのが、久保田成子という日本人アーティストです。彼女もビデオアートを手がけていました。学生時代に、日本にいたナム・ジュン・パイクと出会い、彼を追いかけるようにアメリカで渡り結ばれたのです。

多国語に精通

ナム・ジュン・パイクは多数の言語を操ることで知られていました。それは彼の生まれ育った背景が関係しています。

彼は日本統治下の朝鮮で生まれますが、朝鮮戦争の戦火から逃れるため一家で香港へ移住します。その後、日本の東京大学に進学し美術を学びます。卒業後はドイツで渡り勉学を続けます。さらにアメリカで渡ります。この中で、母国語である韓国語はもちろん、中国語、日本語、ドイツ語、フランス語、英語をマスターしていたといいます。

本書は、韓国で発売された本の翻訳版です。夫人へのインタビューを中心に評伝が綴られています。夫であるナムジュンへの愛にあふれた名作です。

    
コメント