芸人は芸を知っている?

お笑い芸人に関する評価は世の中に溢れています。ネットで少し眺めてみるだけでも、誰もが「面白い」「つまらない」といった感想を簡単に書き込んでいます。さらに少し込み入った評論としては、その芸のジャンルや、芸人の来歴などに注目した書き込みもされています。しかし、そのどれもが本質をとらえたものとは言い難いでしょう。


芸人が知っている?

やはり芸のことは当事者である芸人自身が最も詳しいのではないでしょうか。そう感じさせる本がユウキロックによる『芸人迷子』(扶桑社)です。本書には、かつてハリガネロックというコンビを組んでいた筆者が、現在お笑い専門学校の講師などの仕事をする中で、言葉として体系化されていった芸についての内容が記されています。

理論だけの本ではない?

本書は、いわゆるお笑いの教科書ではありません。ハリガネロックはネタのクオリティの高さには定評がありながらも、芸人としてブレークを果たしたとは言いがたいコンビです。これは、本書の中において著者自身が認めるところでもあります。芸歴を重ねていく中で立ちはだかる限界という壁、さらに後輩芸人たちが売れていく中で、先輩芸人である自分たちは何をなすべきなのか。続ける不幸と辞める不幸という項目にはそうしたリアルな心情が記されています。すべての夢を追う人にとって、直面せざるを得ない、挫折についても正直に向き合った本だといえるでしょう。

    
コメント