元暴走族で少年院に入った宇梶剛士の壮絶だけどすごい人生

「自分がこうなるのは、すべて大人のせい、社会のせいだと決めつけ、その不満は暴力というかたちで露出した。暴力で周りを圧倒しながら構成員2,000人を抱える巨大暴走族の総長となり、あげく少年院に収監された。こんなどうしようもない闇夜の鴉が、真っ白な気持ちになって、この世界で生きていくことが許された過程を、これから素直に語っていきたいと思う。」こう始まる宇梶剛士さんの書籍「不良品」から宇梶剛士さんが歩んだ壮絶だけどすごい人生を紹介します。


■宇梶剛士とは

宇梶剛士(うかじたかし)さんは、1962年8月15日誕生しました。出生時は体重が5000gもありました。高校までプロ野球選手になるという夢を目指していました。

母親はアイヌの民族運動家で、家庭不在のことが多く、青年期まで確執があり、不良になった一因であると宇梶さんは述べています。

しかし、とある暴力事件をきっかけにプロ野球選手への夢は絶たれ、非行の道へ。その後、日本最大級の暴走族ブラックエンペラーの7代目総長となりました(関東連合とは直接のつながりはありません)。そして、暴走族同士の抗争で逮捕され、少年院へ収容されました。

少年院で読んだチャップリンの伝記が俳優を志すきっかけとなります。
その後俳優として活躍。「ひとつ屋根の」など独特な演技と存在感で一躍話題となりました。

■プロ野球選手になるという夢

宇梶剛士さんの友達の中には早々と暴走族の仲間入りをした者もいたが、プロ野球選手になるという「夢を実現させる」という想いが、悪の道、ワルの世界へ踏み込むことを押さえ込んでいました。

■暴力事件による甲子園の出場停止。そして非行へ

とある暴力事件が原因で宇梶さんのプロ野球への夢は消えました。高校も辞め、自分の身の置き場を失った宇梶さんは、暴走族「ブラックエンペラー」に入りました。パンチパーマのカラーへアに特攻服を羽織り、シンナーを吸い始めると、今度は力をどこまで伸ばせるかを試すため、手当たり次第行動するようになったのです。

■暴走族全盛期

当時は、非行の中心的存在であった暴走族の人口が最も多かった時代でした。大きな集会では、バイク600台で1,200人、四輪100台で400人ほど集まることも珍しくはありませんでした。暴走族で頂点を極めても、心の穴を吹き抜ける風はやまない。さらに勢力を拡大しようという刺激を求めて、他のチームに圧力をかけ始めていました。

■宇梶流喧嘩の仕方

体の大きい奴が特攻服を着て他人の縄張りを我がモノ顔で歩いていれば、ワルであれば喧嘩をしかけてきます。相手には事欠きません。

「ガン?おれは飛ばしてねえよ。ガンを飛ばしてんのはそっちだろ」
「てめぇ、なんなんだよ」
「国立の字梶だけど」
「てめぇ、いきがってんじゃねーよ」
「歩いているだけだろ。いきがってんのはおまえだ」

こうして相手のボルテージが最高潮に達し、殺気立つのを冷静に待ちます。相手が手を出してきたところで、拳をふるうのです。自分からは手を出さないのが宇梶さんの流儀だったのです。説教癖もあり、喧嘩のカタがつくと、相手を正座させるのもお決まりでした。

■惨めな心

宇梶剛士さんは、身内には決して牙をむかなかったのですが、身内以外のワルはずいぶんと追い込んでいました。宇梶さんはワルを憎んでいたのです。自分がどうしようもないワルなのにワルを憎むなんておかしいと思うかもしれません。しかし、ワルを痛めつけることで、自分の中にいるワルを痛めつけていたのです。自分と向き合う勇気がないので、自分と同じものを抱え込むワルを痛めつけて蹴散らした。いくら喧嘩に勝っても、いくらワルの大物とあがめられても、心のうちに悲鳴の風が吹く惨めな日々を過ごしていたのです。

■少年院を経て舞台、そして今

たとえ自分を変えることができたとしても、周囲や環境はそのままです。一度、ワルとして行き着くところまで行った人間には、どれだけ振り払ってもついて回る災難というものがあります。

数年前、バラエティー番組で暴走族に入っていたことを宇梶さんは尋ねられました。積極的には話していなかったのですが、嘘を語ることも隠す必要もなかったから、聞かれたことには素直に答えました。すると、その反響が大きかったのです。どこかでポロッと語れば、次に会う誰かは、すでに宇梶さんの過去を知っている。過去を正確にも不正確にも知る人は、宇梶さんが考えるよりはるかに多かったのです。過去はどうしたって消えません。今の宇梶さんがワルとしての考え方をしていなくても、二十数年前はワルであったことに間違いはないのです。人は、その時代の姿を通して、今を見ている。それでいいと思ったのです。俳優として生きるのにワルであったことを捨て、演技でも自分を捨てることを強く意識したが、外見をあらため、心を入れ替え、生きる姿勢を正すだけではまだ足りませんでした。

「心を開き、自然体でいることでようやく成立するのではないかと思い始めた。周囲にそれをどう受け取られでも、かまわないと思うようになった。過去の自分も、今の自分もすべて自分自身。今を積み重ねることでしか、未来に参加することはできないのだから。」

■不良品の意味

不良品の冒頭で、美輪明宏さんが宇梶剛士さんに向けた言葉があります。

「暗闇を見つめてきた人には、純白が、うんとまぶしいの。純白の中で生きてきた人は、純白の美しさを見てもさほどの感動は持たないもの。あなたは暗い道を歩いてきたからこそ、純白の白さに感動できるのよ。闇夜の鴉(カラス)は、どれだけ高く飛ぼうと、どれだけ力強く羽ばたこうと、人にはその姿をとらえることはできないの。いくら叫んでも気味悪がられ、遠ざけられるだけ。あなたは今、ようやく暗いところから飛び出して、明るい世界にやってきたのよ」

かつて不良であった宇梶剛士さんがこの本に「不良品」というタイトルをつけたのは、不良をひきずっているからではありません。不器用で格好悪いかもしれないけれど、生き方としては既製品ではない不良品の生き方が、やはり自分には合っているし、その方が宇梶さんは好きだからです。

生き方に悩んでいる人は、ぜひ「不良品」を読んでみてはいかがでしょうか?。

「不良品(宇梶剛士)」の詳細を調べる

エンタメ参考リンク

「有吉の絶望時代」

    
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