「なるようになるさ。」は見る気に「ならないさ」! でも、その魅力を敢えて感じてみました!!

始まりました! 「若者は見るだけで疲弊する」でおなじみの橋田壽賀子ドラマが、始まりました! 筆者は小学生の頃、「渡る世間は鬼ばかり」ファンの祖母の横で「ああ、何がおもしろいんだろうか。とんねるずが見たい」と思いながら、テレビの画面を見ておりました。あれから約20年が経ちました。もはや「生きるドラマ史」とも言える橋田壽賀子センセーの新作「なるようになるさ。」がスタートです。

しかも、今回の橋田ドラマは、なんと! 「金曜ドラマ」の枠、つまりTBSの金曜夜10時からの放送なのです。橋田ドラマといえば、木曜9時が当たり前でした。1週間、身を粉にして働き、身も心もクタクタになっている金曜10時に橋田ドラマ。もはや修行です。金曜ドラマといえば、90年代には「ずっとあなたが好きだった」「高校教師」、00年代には「木更津キャッツアイ」「花より男子」が放送されていたTBSを代表するドラマ枠。そこに、この夏は、ある意味でTBSを代表する橋田センセー、泉ピン子センセーがお出になる「なるようになるさ。」です。

「金曜ドラマ」と「橋田ドラマ」の食い合わせの悪さったら、ありません。しかし、私もテレビライターの端くれ。見ないわけにはゆきません! 初回放送の2時間を拝見致しました。今回は、そんな「なるようになるさ。」レビューをお届けします。


2013年とは思えない芝居が見れます!

まずこのドラマ「なるようになるさ。」初回2時間スペシャルのことを書くならば、全編に渡り感じるある違和感を書かなければ、「こいつ、見てないだろ?」と皆さんに思われるはずです。その違和感とは、主演の浅野温子の何とも言えない陽の演技。浅野温子演じる綾は、おそらくずーーっとテンションの高いキャラクターなのでしょう。悩みもなく、恐ろしく感じるほどの笑顔で、キンキン声で登場します。「ちょっとおてんばだけど、周囲に元気を振りまく子」という、かつてのNHK朝の連ドラヒロインのようなキャラクターなわけです。

2013年ですよ、橋田さん。そして、演出家の吉田秋生さん。「はなまるマーケット」に番宣としてゲスト出演した浅野さんや泉ピン子センセーの話を聞くと、どうやら浅野温子クオリティのアドリブ炸裂だとのこと。この浅野さんの演技に誰も演出を加えることができていないのが、ありありと手に取るようにわかるドラマです。

一言でいうなれば、「わざとらしい!」ただただそれにつきます。2013年の夏ですよ。NHKの朝ドラも「あまちゃん」をやってる時代ですよ! その2013年の夏にはどう考えてもそぐわない、もっと言えば、かなり暑苦しいお芝居を見られるこのドラマは、貴重です。貴重すぎます! 

フェアに言っておきますと。主演の舘ひろしさんは、説明台詞ばかりの橋田ドラマの定石を打ち破ろうとされているそうです。これは、「はなまるマーケット」にて浅野さんが仰っていたことです。舘さんのお芝居は、その橋田ルールに犯されることなく、いつもと同じ格好良さを魅せてくれます。橋田クオリティから、我らが舘ひろしを死守できたのは、舘さん自身の功績としか言い様がありません!! 

このドラマの楽しみ方

2時間の初回スペシャルを筆者は最初から最後まで目を離さず見たのですが、これはもう偉業だと思います。自分で自分を誉めてあげたいです。その2時間で何が起こったかと言えば、舘ひろし、浅野温子夫婦の3人の子供が結婚で独立。実家を出てゆき、夫婦2人きりの生活が始まるかと思いきや、そこに福岡から逃げて来た女性・非行少女・引きこもりの男の子と一緒に生活することになりました。という実に簡単で淡白でありえない話なのでした。

この舞台の芝居のような設定は、やる人がやればとても楽しい話になる予感がします。舞台畑の三谷幸喜・宅間孝行、あるいは、「よしもと新喜劇」もそうです。大前提として、舞台でおもしろい作品を映像にすると、どうしても舞台の域を出ないおもしろさしか感じることができないというデメリットがあります。が、しかし、三谷さんや宅間さん、「新喜劇」の作家さんが書いた方が、よほどたくさんの視聴者が「まず見る気になる」ドラマができる気がしてなりません。

こんな沢田雅美さん(「渡る世間」レギュラー女優)が言いそうな小言を書いても、来週から三谷幸喜脚本になるわけもないので、最後にこのドラマの楽しみ方を簡単に紹介しましょう。まずは、「浅野温子の止められない演技を文句を言わずに受け入れること」。これは絶対条件です。次に、「奇妙な共同生活で妄想をしながら見ること」。「舘ひろしと紺野まひるが、あんなことになっちゃったりして!?」とくだらん想像をして時間をつぶして下さい。最後は、「現場で四苦八苦しているスタッフを想像しながら見ること」。浅野さんに演出をつけられない演出陣。ピン子センセーへの気遣いは半端ではないであろうプロデューサー陣。彼らのことを脳内でいたわりながら見るのが良いでしょう。

以上が、「なるようになるさ。」の初回2時間スペシャルのレビューです。仕事で疲れた心身を抱えて見るには、なかなか辛いドラマであることは確かです。しかし、おもしろくないからと言って、見ないのは誰にだってできます! ここは、修行だと思って、敢えてこの「なるようになるさ。」ワールドへ足を踏み込んでみてはいかがでしょうか?

    
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