広末涼子主演「スターマン・この星の恋」スタート! なぜ、このドラマの世界に入り込めないのか?

「17年ぶりの広末涼子主演ドラマ」「富士山」「地方が舞台」という話題性に富んだドラマがスタートしました。フジテレビ火曜夜10時から放送中の「スターマン・この星の恋」です。出演者には「あまちゃん」にも出演中の福士蒼太・有村架純、そして、大ベテランの吉行和子に、國村隼が控えています。

演出は「SPEC」「TRICK」「20世紀少年」シリーズの堤幸彦、さらに脚本は「イグアナの娘」「最後からに番目の恋」「泣くな、はらちゃん」の岡田惠和と、キャリアを積んだ大ベテランが担当しています。しかし! しかしながら!! このドラマの第1話を見た筆者は、まったくそのストーリーに乗ることができませんでした。今回は、「スターマン・この星の恋」第1話レビューをお届けします。


「どこにもない話」としか思えないドラマ

「ドラマで描かれる記憶喪失の人物に悪い人なし」このドラマを見てると、どうしてもこの言葉が浮かびます。そして、ドラマにリアリティを感じられなくなり、結果まったくストーリーに乗れないまま、ドラマが終わってしまいました。

男の子3人を女手ひとつで育てるシングルマザー・佐和子(広末涼子)は、通勤中に町を徘徊する男前に出会います。彼の様子が変だと気づき、医者に診てもらうと、彼は記憶喪失だと判明。佐和子は彼を自宅に泊まらせます。最近男っ気がまったくない佐和子は、若くて男前の彼を騙し、夫として日常生活を共に過ごすことに決めました。

「普通なら警察に届け出るよ!」という野暮なツッコミは置いておいたとしても、この現実味を感じられないストーリーにどうやって感情移入しろというのでしょうか。記憶喪失の人物を絶対いい人に描くのは良しとしても、彼を迎え入れる登場人物、少なくとも主人公は「一体誰なんだろう?」「なぜ記憶喪失になったのだろう?」「どこから来たのだろう?」と疑わなければ、観客や視聴者はその世界に入り込むことはできません。

佐和子の息子が実に的を射た発言をしてくれます。
「本当はすごく悪いヤツかもしれないんだぞ!」彼が一番マトモな感覚をしています。ひとつ屋根の下で突然暮らすことになった男を「パパ」だと思えと、ママが言うわけです。普通、グレます。しかも、その男は町で出会ったばかりの記憶喪失の男なのです。普通、家を飛び出します。

佐和子は、その男に「あなた、宇宙人?」と聞きます。結構、本気で聞きます。宇宙人かもしれないと考えられる人物と共同生活できるでしょうか? そして、彼女は男に「星男」と名付けるのです。

筆者は別に宇宙人が出て来るドラマや、記憶喪失の男との恋愛ドラマを否定しているわけではないんです。現実世界ではなかなかあり得ない、ファンタジーとも思えるドラマならば、登場人物の“気持ち”“”心象“はリアルに描かなければ、そのドラマ世界に入って行くことが視聴者はできません。ありえない設定に、ありえないキャラクターが登場するドラマに誰が「あぁ、こういうこと、昔、私にもあったわぁ!」と思えるのでしょうか。「どこにもない話」としか思えません。

がんばれ、岡田ちゃん

脚本家の岡田惠和さんが担当した日本テレビの「泣くな、はらちゃん」は、このドラマよりも遥かにあり得ない設定でした。内向的なヒロイン(麻生久美子)が、唯一ストレス発散できるのがマンガを描くこと。彼女が描いたマンガの人物・はらちゃん(長瀬智也)が、現実世界に飛び出して来る、というストーリーです。

このあり得ない設定にリアリティを持たしてくれたのは、人の心をきちんと描いていたからです。「僕はマンガの世界からやってきました!」と語るはらちゃんを見て、ヒロインが「ちょっとヤバい人」と認識します。設定はムチャクチャでも、人物の心象をリアルに、丁寧に描けば、「その世界が現実にあるかもしれない」と視聴者は思えるのです。

「スターマン・この星の恋」は、そんな「泣くな、はらちゃん」を担当した岡田さん脚本のドラマです。演出の堤幸彦氏の意見などに左右されず、もっと脚本優先でドラマ制作をされることを切に願います。そうすれば、今後は目が離せないドラマになるかもしれません。

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