監督のドヤ顔が見え隠れするドラマ「天魔さんがゆく」は、もったいなさすぎる作品

「もったいない!!」これが「天魔さんがゆく」の率直な感想です。堂本剛、4年3ヶ月ぶりの主演ドラマ、共演者には皆川猿時・佐藤二朗! と聞くと、かなり期待します。しかも、ホラーコメディときたわけです。加えて、深夜ドラマ! 「こりゃかなりコアな笑いを見ることができるんだなぁ」と胸も高鳴ります!

しかしながら、第1話を見終えての感想は「もったいない!!」「つまらない!!」「話が長い!!」でした。今回は、そんなドラマ「天魔さんがゆく」の第1話レビューをお届けします。


誰か脚本家に注意してほしいドラマ

劇中ずっと感じていたのは、底知れぬ“間延び“です。皆川猿時演じる大覚と川口春菜演じる岡崎が、話をするシーン。はっきり言って長いです。学校の校務員の男性が、夜の校内を見回りに行くシーン。はっきり言ってかなり長いです。ホラーコメディならば、たとえば、この校内見回りシーンを怖く撮っても良いんではないでしょうか。しかしながら、ただただ長いだけで、そこに怖さのかけらもありませんでした。

「何かが起こるかもしれないなぁ」「どこから幽霊が出て来るかわからないなぁ」というドキドキは、ホラーには必須です。このドキドキ感は、笑いにも繋がります。今回の第1話で、トイレの個室に閉じ込められた岡崎が、隣の個室に何かがいることに気づきます。女教師と共にそのトイレのドアを開けて、個室に誰がいるのかを確かめようとドアを長い時間ガチャガチャと力づくで開けようとするわけです。

「個室のなかには誰がいるのだろうか?」と、期待をもって、さらに、ドキドキしながらそのシーンを見守っていた視聴者のかたもいるでしょう。やっとの思いでこじ開けたその個室には、ゆるキャラ・ふなっしーがいたのです。

良い様に言えば、スカシ。悪い様に言えば、ダダスベリしているこのギャグ(ギャグという言葉も使いたくないですが)に脚本・監督を務める福田雄一氏のセンスのなさが表れています。
今、ゆるキャラはもっとも使っちゃダメでしょう。「ブームが一番サムい」ということに気づいていないどころか、「ふなっしーなんか使うドラマなんか、みんな、見たことないでしょ?」というドヤ顔さえ浮かんでくるほどです。
誰か、このセンスやアイデアを止めるスタッフはいなかったのでしょうか。アメリカのコメディ映画の現場では、ギャグ作家が数多くいて、それぞれがアイデアを出し合い、ひとつの脚本を制作します。一方、日本のドラマや映画の脚本家はおおむね1人です。その脚本家の世界観がダメ出しされることなく、撮影に入るわけです。

これでは、ブラッシュアップされた脚本ができあがるはずがありません。結果、映像となったとき、おもしろいと思える作品はできあがらないわけです。確かに、日本のテレビドラマでもプロデューサーなど制作陣との脚本の直し作業はあります。しかし、その場で抜本的な手直しはされてないということです。「あなたの脚本、全然おもしろくないです!」とはっきり言えず、逆に「あぁ、こんなドラマ、見たことないです! だって、ふなっしーが出てるんですから!!」とおそらく誉めているわけですから。

監督のドヤ顔が見えるドラマ

堂本剛さんが笑っちゃってるシーンが使われていること。これも作品を笑えない作品にしているひとつの理由です。かつて、日本テレビで放送されていた「伝説の教師」というドラマでは、主演の松本人志さんと中居正広さんが完全アドリブで芝居をするシーンがありました。松本さんのボケに思わず、中居さんが笑ってしまっても、そのシーンは使われていました。それが見事に成立していたのは、松本さんのボケを視聴者が共有していたからだと思います。視聴者が中居さんのポジションで見れていたから、中居さんが笑ってしまったことを受け入れられたわけです。

しかしながら、このドラマでは堂本さんがなぜ笑ったのかをしっかり伝えられていません。皆川猿時さんがボケているのですが、そのボケがボケとして伝わらず、ただの悪ふざけとして見えてしまっているのです。この悪ふざけに笑ってしまう出演者を見たとき、視聴者として筆者は完全に引いてしまいました。

あらためて、きちんと記しておきますが、皆川さんのボケがおもしろくなかったわけでは決してありません。そのボケをきちんとボケとして映像化していないため、単なる悪ふざけに見えてしまったということです。

なのにもかかわらず、堂本さんが笑っちゃってるシーンを使うことは、「出演者が笑ってしまってるけど、それを使うドラマって斬新でしょ?」という監督の気持ちが見えてしまい、さらに視聴者の気持ちは冷めてしまうのです。

「もったいない!!」そう思うのも無理はありません。せっかく皆川猿時さんという名コメディアンがボケているのにもかかわらず、それが生かされていないという実にもったいないドラマ。それが「天魔さんがゆく」なのです。第1話の監督は、福田雄一さん。今後の監督陣には、「SRサイタマノラッパー」シリーズの入江悠さんの名前も挙がっています。入江監督のセンスに期待するしかありません。

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