青年の主張に見る戦後史

「青年の主張」という番組があります。毎年、成人式の日にNHKで放送される弁論番組です。青年の主張の第一回が放送されたのは1956年のことです。青年の主張は、1989年からはNHK青春メッセージと名前を変えて、2003年まで放送されました。この原稿では、便宜上、両方の番組を青年の主張として記述します。


何を訴えていたのか?

青年の主張は戦後の日本の歴史とともにありました。各回ごとに傾向をふりかえった本が、佐藤卓己による『青年の主張:まなざしのメディア史』(河出書房新社)です。青年の主張には、総理大臣を務めた海部俊樹や、猪口邦子など、のちに議員となる人間を多く排出しています。大学の弁論部などで頭角を現した実力派の人間が、結果的に勝ち上がって来る時代がひとつありました。さらに学生運動の嵐が吹き荒れる、1960年代後半となると、左翼的な主張も多く見られるようになりました。

ネタの対象?

その一方で、青年の主張は真面目な人間が集まる場所として、笑いのネタにされることもありました。80年代に入ると、タモリやとんねるずといった芸人たちが、青年の主張を面白おかしく取り上げるようになります。時代錯誤な人間しか登場していないのかと思いきや、その後、90年代から平成に入ると一周りして、ヤンキーなどの非行体験を語る出場者も現れるようになります。著者は青年の主張を通して、当事者である若者が見つめる社会と、その若者を社会がどう定義してきたのか、その間にあるゆらぎを見極めようとします。メディアがまさに時代を写す鏡であるとわかる本でしょう。

    
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