TV番組の視聴率1%は100万人に相当するの? 視聴率の都市伝説

TV番組の視聴率1%は日本の人口から考えると約100万人に相当するのでしょうか? これ、実は視聴率の都市伝説なんです。


■視聴率1%は100万人?

視聴率の都市伝説である「視聴率1%は100万人に相当する」という「思いこみ」があります。こうした「思いこみ」は2000年の「シドニー五輪」でマラソンの高橋尚子選手が金メダルをとったときの報道から頻繁に目にするようになった「大いなる誤解」なのです。「尚子 金 8400万人熱狂」。この報道は地上波と衛星放送の視聴率をすべて合算した値に100万人をかけた数字でした。また06年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)決勝戦の視聴率が関東地区で43・4%を記録したときも、「WBC視聴率43% 4300万人が見た」といった説明がありました。こうした表現は、実はとんでもない誤りなのです。

■全国視聴率という考え方

視聴率1%で100万人が視聴したといえるのは、NHKが年に数回実施している「全国個人視聴率調査」の、「全国視聴率」の結果をもとにした場合にだけいえることです。つまりWBCが国民の何人に見られたのかを知りたければ、7歳以上の日本国民の数にWBCの全国視聴率を乗じて計算すべきものなのです。その場合、NHKは1%をおおよそ100万人と推計しているので、もしNHKの全国視聴率の結果でも43%というのであれば、4300万人が見たといえるのです。

しかし、報道される記事を見てみると、ほとんどの場合、ビデオリサーチ社の「世帯視聴率」、しかも関東地区の数値をもとにしているのです。そうであるならば、関東地区の世帯数(1702万世帯とする)に関東地区の視聴率を乗じて、1702万世帯×43・4%=739万世帯が見たとすべきなのです。また世帯視聴率は視聴した世帯の数を調べたものですから、世帯視聴率でもって視聴人数を推定することはできません。

ビデオリサーチの関東地区の、世帯視聴率に100万人を掛けて視聴人数を計算しても、何の意味もないのです。ビデオリサーチ社の視聴率をもとにWBCの視聴人数を算出するのであれば、「世帯視聴率」ではなく「個人視聴率」を使うべきです。例えば関東地区の調査エリア内には4歳以上の個人が約3998万人いる(書籍データ当時)。関東地区のWBCの個人視聴率がもし20%だとしたら、関東地区のエリア内人口にWBCの個人視聴率20%を乗じて、およそ800万人が見たとすべきなのです。

また、視聴者を年齢階層別に見ることができる「個人視聴率」は、「世帯視聴率」に比べると、調査サンプルが各年齢層に細かく振り分けられるため少なく、その分、誤差が大きくなります。そのため「視聴人数」への換算はおすすめできません。

「視聴率◯◯%で、これは◯◯人が見た計算になる」という報道があったら、まずは疑ってかかりましょう。TV番組の視聴率1%は100万人に相当しないのです。

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参考本

「視聴率の正しい使い方(藤平芳紀)」

    
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