「ブラタモリ」ではなぜ久保田アナが抜擢されたのか

NHKの人気番組『ブラタモリ』。その仕切りを務めるのが、久保田祐佳アナウンサーです。彼女のあの素のリアクションが「好き!」という方も多いのではないでしょうか。「久保田アナはなぜあんな素のリアクションができたのか」。そこにはプロデューサーの確信的な仕掛けがありました。


久保田アナのリアクションの秘密

この番組は、タモリさん本人にたくさんしゃべってもらえる番組にしたかったため、出演者は、女性アナウンサーで、場を仕切る感じのしない人がいいということでフレッシュな、久保田アナウンサーが選びました。しかも、そんな久保田アナに、尾関Pは言いました。

「番組の仕切りやリードは、やらないでください」

本来「最も番組内容を頭に入れている」はずのアナウンサーに、それを伝えたのです。やらなくていいのは楽かと思う方もいるかもしれませんが、違います。逆にこんなに難しいことはないはずです。やらなくていいとしたら、何をしたらいいのでしょう……。

尾関Pは、番組の中で、久保田アナウンサーは視聴者目線の代表という位置づけにしました。

「タモリさんや専門の先生が話す内容について、わからないことがあったらどんどん質問してほしい」

という、役回りを与えたのです。しかし、これはひとつの賭けです。何もしなくてもいい、とは言え、やはりいろいろ考えてしまうのではないか……。そうなった時、妙な「頑張り感」が出てしまうと不自然になってしまう……。

ところが、この不安を久保田アナウンサーは見事に裏切りました。本当に何もしなかったのです。

「知らない」と言える強さ

わからないことがあると、あいまいにうなずきながら質問し、面白い時は笑い、びっくりすると普通に驚き、まさにその年齢のひとりの女性としての「素」のリアクションをしてくれたのです。

これが大きな反響を呼びました。放送当時は

「あんなに何も知らないのはタモリさんに失礼だ」

というご意見まであったそうです。彼女は事前に勉強すれば、こんな感想をいただく必要のない役回りをすることができた人なはずです。それでも、尾関Pが「勉強しないでくれ」と強く頼んだことで、彼女は勇気を持ってその通りにしたのです。これは、並大抵のことではできません。画面に出るのは自分なのですから、どうしても自分がかっこよく映るよう振る舞ってしまうのです。しかし、久保田アナウンサーは、自分がかっこ悪く映ることをものともせずに、演出サイドの要求に応えたのです。

するとネガティブな意見は徐々になくなり、

「番組の中で、久保田アナウンサーが私が疑問に思ったことを聞いてくれた」
「タモリさんと久保田アナウンサーのコンビを絶対に変えないでほしい」

というポジティブなものに変わりました。

何も知らないことを受け入れて、その中で最大限のリアクションを打ち返す。久保田アナのこの姿勢は、教えてくれます。知らないことを、知らないという言えることには大きな価値を持っているということを。

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