ろくに審議もされずに決まった著作権法改正案 違法ダウンロード刑罰化の意味とは

違法ダウンロードに対し刑罰が課される著作権法改正案は、2012年6月15日に議員立法として国会に法案が提出されてわずか5日で成立しました。十分審議が行われているとは言えない状況での成立に法律関係者からも反対の声が上がっています。この法律は、我々一般市民にどう影響するのでしょうか?


■違法ダウンロード行為に対する刑罰化の内容とは

2012年6月20日に成立した「違法ダウンロード刑罰化」を含む著作権法の一部改正案により、2012年10月1日以降、以下のような刑罰が課されます。

第三十条第一項に定める私的使用の目的をもつて、有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。)の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

法律用語なのでちょっと難しいですね。

簡単に言うと以下です。

違法にアップロードされた有償の音楽・映像の著作物等を違法と知りながらダウンロードする行為に対し、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する

■改正法の問題点

本当に違法なダウンロードが処罰されること自体は当然だと思います。しかし、問題はそこではありません。

実は先ほど引用した改正案の条文はとても書き方が曖昧でいかようにでも解釈できるようになっています。つまり、捜査機関が自由に裁量できるような文言であるため、一般的な日本のインターネット利用者は皆犯罪捜査の対象になる危険性があるのです。

しかも、捜査の段階では、正規にダウンロードしたものなのか違法にダウンロードしたものなのかは判断できません。そうなると、捜査機関はパソコンやスマートフォンなどをいつでも押収可能し、調査することができます。

また、その対象は大人だけではありません。子どもであっても刑罰の対象となります。

■法律を変えた人たち

このような法改正を望んだのは誰なんでしょう?

それは、本書「日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか」を読むとわかります。なんと、法改正に関わったメンバーの大半は、著作権の権利者団体の代表です。そのため、「著作権者等の権利の保護」のみが目的となっているのです。

本来、著作権法の目的は「文化の発展に寄与すること」です。つまり、「著作権者等の権利の保護」だけでなく、「文化的所産の公正な利用」も必要となります。しかし、メンバーには「文化的所産の公正な利用」の代表者たる利用者がほとんど含まれていません。

■利用者不在の法改正

この著作権法改正でメリットがあるのは、捜査機関と著作権の権利者団体です。我々一般の利用者は置き去りです。

重要なのは違法行為をしなければよいという問題ではありません。文化庁はYouTubeなどの閲覧はプログレッシブダウンロードなので処罰の対象外だとしていますが、条文の読み方によって解釈が変わるため、そうとも言い切れません。文化庁のそのような解釈は刑事実務では通用しないという指摘すらあります。

つまり、誰もがある日突然犯罪者扱いされ、パソコンやスマートフォンの中身を探られ、最悪の場合、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金又はその併科を課されることになりかねないのです。

■自分の身を守るために

このように問題のある法律とはいえ、成立してしまった以上、従うしかありません。自衛のためにも著作権法を学びましょう。

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