震災から学ぶ ソーシャルメディアによる復興と国際化のススメ

未曾有の災害となった東日本大震災から、1年以上がすぎました。この震災において、停電でテレビが見られなくなったり、携帯電話による通話が繋がりにくくなったりした中、その情報収集手段、連絡手段の代わりとして大きな役割を果たしたのがソーシャルメディアでした。今回紹介する書籍では、震災においていかにソーシャルメディアがその役割を果たしたのか、今後、日本人はいかにソーシャルメディアを使いこなしていけばよいのかを提言しています。


■震災時に活躍したソーシャルメディア

東日本大震災発生直後、日本中をさまざまなニュースが飛び交いました。しかし、被害が発生した場所では普段、我々が情報を入手するために用いるテレビや携帯電話といった大半のツールが使えない状況でした。そんな時に、それら既存のツールの代わりとして自然に多用されたのがソーシャルメディアでした。
 
中でも、ユーストリームとツイッターは、被災地にいる方の情報源となったり、安否確認に使われたり、また励ましになったりと大きな役割を果たしました。震災直後、被災地から遠く離れた広島に住む、いち中学生がいち早くNHKのニュース映像をユーストリームで配信し始めました。それを知ったツイッターユーザが次々に「ユーストリームで地震関連のニュースを見ることができる」ことを伝え、瞬く間に広がっていきました。
 
その配信を知ったユーストリームの担当者は、違法配信として停止することなく、配信を続けることを決断します。やがて、NHKの公式ツイッターアカウント「NHK-PR」の中の人も配信を知ることとなるのですが、彼は免職の可能性も感じながらも、フォロワーに配信のアドレスを紹介します。そして、こう、つぶやきます。
 
「私の独断なので、あとで責任は取ります」
 

■ソーシャルメディアの光と影

このように今回の大震災時には、ソーシャルメディアが大きな役割を果たしました。この事実を元に、ロサンゼルス在住のブログ作家兼ソーシャルメディアプロデューサーである立入勝義さんは、ソーシャルメディアの光と影に踏み込んでいきます。
 
そう、ソーシャルメディアには「光」の側面だけではありません。デマが拡散し、風評被害へとつながった「コスモ石油」の例や不謹慎なツイートをしたドワンゴ社員、TSUTAYA店長の例などを紹介しながら、ソーシャルメディアの「影」の部分にもきちんと触れています。
 
また、本書では、「海外世論がこの震災をどう捉えたか」についても多くの事例を元に解説しています。中には「日本に寄付するな」といったような、にわかには信じられないようなものもあるのですが、その背景には「日本人の得体が知れない」点があると著者は指摘します。
 

■ソーシャルメディアのススメ

著者は、こうした現状を改善するために、ソーシャルメディアを用いたコミュニケーションを推奨しています。この点は、まさに海外のソーシャルメディアに詳しい著者ならではの視点です。
  
今回の震災で、日本の良いところも悪いところも世界中に伝わりました。悪いところは改善をしていかなければなりません。著者は、具体的な事例をたくさん紹介しながら、今後の復興や国際化にむけて日本人がどうするべきかを提言しています。特に、ソーシャルメディアを考慮したインフラの整備、ソーシャルデバイドの解消、ソーシャルメディア界で世論を牽引するインフルエンサーの成長を挙げています。
 
日本人も、グローバル基準のソーシャルメディアに慣れ親しんで、積極的に海外の人々と意志の疎通を図れるようになって欲しい。本書にはそのような願いがこもっています。
 

「検証 東日本大震災 そのときソーシャルメディアは何を伝えたか? 」の詳細を調べる

    
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