ニコニコ動画は21世紀のカラオケ!? 「粉雪」から始まったニコニコ弾幕「こなああああああゆきいいいいいい」

「粉雪」という曲を知っていますか? レミオロメンが歌う、2005年から2006年にかけてヒットした名曲です。ニコニコ動画上で初めて「弾幕現象」が起きたのは、「粉雪」からだったと言われています。「粉雪」の「弾幕現象」は、カラオケに似た構造があります。ニコニコ動画は、21世紀のカラオケだったから成功したとも言えます。今回はなぜ、ニコニコ動画が成功したのかその理由を紹介します。

■「粉雪」の「弾幕現象」

ニコニコ動画でおなじみの弾幕現象を、レミオロメンの「粉雪」を例に紹介すると、「粉雪」は、切なげな曲がサビへと向かいます。サビまでの「ため」の部分でコメントが増えはじめ、サビで一気に弾幕が起きます。 喜びも悲しみも〜 「ざわ・・・」 「ざわざわ・・・」 虚しい〜だ〜け〜♪ 「だーけー!」 「くるぞ」 「フライング注意!」 粉雪〜♪ 「こなああああああゆきいいいいいい」 「こなあああああああゆきいいいいいい」 「こなああああああゆきいいいいいいいいいいい」 「こなああああああゆぅきいいいいいいwwwwwww」 「こあああ……………………………………………………」 世界の人たちは、この「粉雪現象」をどう思うのでしょうか? 「ねぇ、日本人はそれで、孤独を分けあうことができるのかい?」 しかし、私たち日本人はそんなことが好きでたまりません。画面の前で、口ずさみながら、ワクワクしながら、「こなああああああゆきいいいいいいい」と入力しあいます。何がしたいのでしょう? わかりません。ただ私たちは、呼び覚まされてしまうのです。自分もつい乗っかりたくなるほど、その輪の中に飛び込んでいきたくなるのです。

■カラオケ好きな日本人

日本人は、カラオケが大好きです。普段おとなしい人も、カラオケだと生き生きします。恥ずかしがりのはずの日本人が、なぜ「KARAOKE」を作れたのでしょうか。「和」とは、カラオケなのかもしれません。上手い下手とか、先輩とか後輩とか、老若男女とか、いろんな立場の人がいるけど、大切なのは「みんなが自分から歌い出したくなる」気持ちです。「自分から参加したくなる」気持ちが集まれば、日本人はかなりホットになってしまうのです。 カラオケにもいろいろなルールがあり、誰かひとりが歌いっぱなしでもダメで、下手な人も歌ってこそ盛り上がります。「ジャイアンのリサイタルになってはいけない」という不文律があるように、カラオケに独裁君主はいりません。リーダーが強権すぎては、和は萎縮してしまうのです。「北風」と「太陽」。みんなが歌うと楽しそうだから「自分からつい歌い出したくなる」タイプの参加性が大切です。2時間のつもりで入ったカラオケボックスで、いつのまにか延長してしまうことも多いですよね。 「あと1時間!」 「もう1時間!」 「あと30分だけ!」 延長に延長を重ねるほど、お互いのキャラもつかめ盛り上がります。 「えー!部長、初音ミク歌えるんですか!?」 「あ、メルト!私、おどれますよ、その曲♥」 「くあぁ、メルトおどるなら、拙者のヲタ芸で盛り上げるしかないようなー」 「じゃ、メルトいきま〜す♪」 延長に次ぐ、延長を重ね、和は「共創」されていきます。しめの曲は、みんなで「粉雪」。サビでは、みんなの頭に弾幕がよぎります。 「こなああああああゆきいいいいいい」 「こなあああああああゆきいいいいいい」

■ニコニコ動画は21世紀のカラオケ

「歌ってみた」 「踊ってみた」 「ゲーム実況」 ニコニコ動画で、人気のあるカテゴリーは、自分でも参加して楽しめるものばかりです。ニコニコ動画とは、「21世紀のカラオケ」と言えます。カラオケでは「既存の楽曲」をなぞって歌うが、ニコニコ動画は「何かの元ネタ」に基づきながら自分たちで「◯◯してみた」というプレイを披露しあいます。初期の「歌ってみた」「踊ってみた」は、有名なアーティストの楽曲が多かったですよね。でも今は、その元ネタでさえ、ボーカロイドを通じて自分たちで作り出すものが増えています。作り手も使い手も、自分たち同士と、混在化しています。 作り手は、オリジナルを披露したがり、楽曲やPVの創作をします。使い手側は、それを元ネタに自分でも「歌ってみた」「踊ってみた」を披露したがります。境目が曖昧だからこそ 「自分たちみんなの場所」 「自分たちが育てている場所」 という感覚も強くなります。そこがニコニコ動画とユーチューブの決定的な違いです。ユーチューブでは「超会議」は成立しなかったでしょう。見てるだけが多いユーチューブと、カラオケのように参加することに意義のあるニコニコ動画。そしてその最たるものが、ニコニコ超会議の実現だったと言えます。

■ニコニコ動画が成功した理由「コミュニティの活性化」

ユーザーが集まると、次第にエスカレートしていきます。既存のものだけでは、物足りなくなります。発展するベクトルは、「自分から参加したくなる」の最大化です。「見る阿呆より踊る阿呆」のほうが楽しくて「もっともっと!」となる構造は、カラオケと同じ構造なのです。 1. 誰かが「粉雪を歌ってみた」を投稿する 2. 誰かが「粉雪をギターで弾いてみた」と続く 3. 誰かがコスプレで「粉雪をハルヒダンス風に踊ってみた」と発展させる 4. 誰かが「初音ミクさんに粉雪を歌ってもらいました!」と新機軸を拓く 5. 誰かが「粉雪を超える曲もオリジナルでつくってみた!」となっていく ニコニコ動画はユーザー参加のコミュニティ形成がうまく機能したから成功しました。ニコニコ動画のようなヒットサービスを作りたい人は、「ソーシャルエコノミー」を読んでみてはいかがでしょうか? 「ソーシャルエコノミー 和をしかける経済(阿久津 聡, 谷内 宏行, 金田 育子, 鷲尾 恒平, 野中 郁次郎)」の詳細を調べる