池上彰が説明する日本と世界の経済問題

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先日「未来世紀ジパング」で池上彰さんが天安門事件の次にあたる中国の最新スキャンダル問題について緊急説明を行なっていました。池上彰さんの分析力には毎度驚かされます。今回は、池上彰さんが指摘している日本経済の行き詰まりがなぜ起こったのか、今、世界経済にはどんな問題があるのかを、池上彰さんの著書から、わかりやすく紹介します。


■日本経済

日本経済の行き詰まりは、諸問題を先送りしてきたことにあります。韓国と違い、国内市場が比較的大きかった日本は世界市場への対応が遅れ、中韓への技術供与も慎重に判断しないとすぐに追いつかれてしまいます。国が技術セールスについてもっと協力し、世界に売り込んでいく必要があるのです。また、国の借金は900兆円。そこに震災がきて、諸問題を先送りできなくなりました。なぜ今までなんとなくやってこれたかと言うと、国債の95%を国内投資家が保有しており、対外債務が少なかったからです。

■日本の7つの問題

1. 年金問題/制度設計から数十年して問題が出てくるので、急がないといけない
2. 介護保険/現場の労働条件悪化、人材不足が深刻
3. 学力低下/フィンランドにヒントが。現場の裁量が大きく教師の技術向上意識も高い
4. 郵政民営化は失敗?/サービスは向上した。デメリットを含め検討が必要
5. 地方分権/進めた方がいい。中央の役人の数が減れば、コスト削減=物価に反映
6. 農家への戸別所得補償/食料自給率を上げるためには効果的
7. 納税システム/サラリーマンも確定申告制にすれば、もっと関心が高まるはず

よく批判される小泉・竹中改革ですが、郵政民営化や不良債権処理は評価できるのです。逆に人材派遣業法の改正はマイナスです。政治を評価する際は、「全面肯定or否定」の二分法ではなく項目ごとに見極めるのが池上さんのおすすめです。

■TPPでどうなる、日本の農業?

TPPは、環太平洋諸国の経済の自由化を目的とした域内取引環です。2010年にアメリカが交渉に参入したことで、消極的だった日本も交渉を始めました。その目的は主に経済活性化やアメリカとの貿易確保です。ただし、アメリカは強引な要求を日本にする可能性があります。しかし、参加しなければ、日本抜きでアジア太平洋の経済が動いていく懸念もあります。

なぜ農業だけ保護されるのでしょうか?自国の食糧供給安定は大切だが、過保護は産業を衰退させてしまいます。米の鉄鋼や自動車が好例です。日本の農業は国策に翻弄され、自立できずに衰退しました。農家の高齢化が進み、行政指導による平等主義で若手が育たない状況です。TPPをきっかけに、自立意欲のある強い農家が国際競争力をつけ、新しい農業のあり方を開拓していくしかありません。方針転換は農業団体の猛反発を受けるでしょうが、政治家はTPPを断行するべきです。今後は農業も健全な競争社会を受け入れる必要があるのです。

また、TPPの参加、不参加でどれだけの経済影響があるのかというと、「TPP参加でマイナス8.4兆」、「TPP不参加でマイナス10兆」であり、TPP加盟が有利と判断できます。

■世界経済が抱える4つの問題点

1. 資源問題/原油が投機の対象になり価格が不安定に。
→原油価格が上がればあらゆるものの価格が上がる
→中東への石油依存を避けるため、アメリカはバイオエタノールを奨励
2. CO2削減/削減の動機をより高めようと経済原理を導入(排出権取引)。
3. 米ドル不信/新たな基軸通貨としてSDR(IMFの特別引き出し権)が浮上。
→SDR債券が人気を得ればアメリカ国債は売れなくなる
4. インフルエンザ/感染症は世界的な危機管理問題

日本の相対的地位は海外の活発な動きから、低下傾向にあります。関税ルールを決めるWTOで中国・インドなど新興国の発言力が増し、日本に市場開放を求める外圧が強まっているのです。さらに人件費、技術力でも中国と韓国が日本に追いついてきているからです。

これから日本の再生のために大事なのは、一人ひとりが自立することです。国に頼らず自分で考え行動することが大切になります。自分で考えることの大切さを池上彰さんは気づかせてくれます。

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