アートと承認欲求の関係

アートはいたるところでブームだと言われています。特に、これまでのような美術大学・芸術大学を経由してのアートだけでなく、若者のアート、あるいは地方のアートイベントといったものが取りざたされています。その中には、これがアートなのかと思ってしまうようなものもあるでしょう。さらに、アートをめぐってご近所とのトラブル、差別やジェンダーに関わるトラブルも起きています。そこでは、そもそもアートは反社会的・反権力的なものであり、人を傷つける可能性を秘めたものだといった反論がなされています。原理的なことを言っているようですが、社会性を欠いた独りよがりな言葉にも聞こえます。


アートは何か

そもそもアートとは何なのか、人はなぜアートに惹かれるのか、アートを崇めるのか、そんな問いかけに迫った本が大野左紀子『アーティスト症候群:アートと職人、クリエイターと芸能人』(河出文庫)です。著者は、もともと地方で現代アートのアーティストとして20年間にわたって活躍をしてきましたが、現在は廃業し文筆業に転じています。本書は、誰もがアーティストになりたがる心理に迫り、さらにアーティスト化する芸能人、「たけしの誰でもピカソ」などのアートを後押しした番組などについて「本当にそれいいと思っているのか」という鋭い解説がなされています。ツッコミ視線も含まれているので、アートだから許される、アートだからなんでもアリな風潮に一石を投じる本に仕上がっているといえるでしょう。

    
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