博物画の世界にふれる

博物画と呼ばれるものがあります。かつて写真がなかった時代に、ものを記録するための手段として用いられたものです。それは、博物画を見た人がその形状をつぶさに観察できるものでなければいけません。そのため、たいへん緻密に記されたものが博物画の世界であると言えるでしょう。

歴史に触れる

そのような博物画の世界に触れられる本がウェルカム・コレクション編集、堀口容子翻訳による『うつくしい博物画の記録 しぜんを しるための えほん』(グラフィック社)です。本書では18世紀から19世紀にかけてヨーロッパの研究者や探検家などが残してきた、自然を題材とした博物画が集められています。本書は多くがビジュアル的な要素によって埋められていますので、外国の本でありながらも、楽しんで読めるものだと言えるでしょう。むしろ読むという体験を離れて眺めるものとしても見ることができるかもしれません。どこからでも、興味の向くままに博物画の世界に触れてみてはいかがでしょうか。

精緻さとユーモア

さらに本書を眺めていて感じるのはユーモアというべきものです。昆虫の複眼を顕微鏡で観察したさまを細かく記している様子など、よくぞここまでと驚くとともに、それと同時に昆虫や動物などが持つおかしみを持つ表情がしっかりと浮かび上がって来るのです。これはやはりかつての研究者たちが、世界を知りたいという情熱のもとに、さまざまな作業を熱心にこなしていた証拠でもあるでしょう。