「胸毛が濃くて悩んでいます」 浅田次郎先生この悩みをどうすればよいでしょうか?

プリズンホテル、鉄道員(ぽっぽや)の著者として有名な浅田次郎さんの人生相談本が話題となっています。週刊プレイボーイの連載だったこともあり、かなりディープな内容となっています。今回は、「胸毛が濃くて悩んでいる」という相談を浅田次郎がぶった斬ります。


質問:胸毛が濃くて悩んでいます

この夏、私に起こった悲劇を聞いてください。自分は東北の出身で、水泳の授業を受けずに育ちました。当然、泳げません。泳げないけど遊びには行きたい。

「泳げなくても楽しめるよ」という言葉を信じてついていったのですが、事件はプールに入る前に起こりました。女の子のひとりが私の胸毛を凝視して固まってしまったのです。どうやら、私の胸毛が濃すぎるということらしいのです。

「里芋が突然変異で激しく進化したような感じ」だとか。その時に初めて自分の体毛の濃さを知り、打ちひしがれました。以来、外に出ず引きこもっています。来年の夏を思うと、今からもう憂鬱です。この悩みをどうすればよいでしょう。

僕はハゲを気にしない。あなたも胸毛を気にするな

ちょっと待て。胸毛が濃いとか薄いとかその前に、19歳になるまで海にもプールにも公衆浴場にも行ったことがない人間なんて本当にいるのかね。どんな人生を送ればそんなことになるんだよ。憂慮すべきは胸毛とかそんなことじゃないよ。

あなたはほかの人と根本的に違った生活の仕方をしてきたんじゃないか? だから胸毛が気持ち悪かったのではなく、海にもプールにも行かず、銭湯にも行ったことのない人間の裸が気持ち悪かったという、そういう得体のしれなさのようなものが原因なんじゃないかと僕は思うな。

あなたがやるべきことはひとつだ。自分のアパートのユニットバスは使わず、毎日銭湯に行きなさい。銭湯へ行って、人前で裸をさらし、鏡の前で自分の体を観察してごらんなさい。そのうちに、普通の体になります。

僕が若い頃は、胸毛って流行っていたけどね。あの長嶋茂雄も加山雄三も胸毛がトレードマークだった。胸毛が妙にモテた時代があったんだよ。ところが、ある時期から毛嫌いされるようになってしまった。つまりね、人間の美意識なんてものは、時代によってどんどん変わるものなんだ。胸毛ごときをコンプレックスに感じる必要はないんだよ。胸毛が恥ずかしいというなら、ハゲている僕は一体どうなるんだ。

僕は、自分のハゲに関してはまったくコンプレックスないんだよ。そりゃあ、変だと思っている人はいるかもしれん。

「こんなハゲオヤジ、嫌だ」
「どんな手を使ってもハゲにはなりたくない」
「ハゲてるくせに妙に頭がデカイんだよな、このオヤジは」

とか思っている編集者もいるかもしれんけど…

こんな濃い人生相談がたくさんあります。浅田ワールドを楽しみたい人は本書をぜひ読んでみてはいかがでしょうか?

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参考本

「世の中それほど不公平じゃない 浅田次郎 最初で最後の人生相談 」

    
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