凶悪犯罪の主犯が…えっ、オレ? ネットでさらされ、誹謗中傷攻撃を受けた男

《クソガキ犯罪者を晒すサイト、こいつらにご用心!』というサイトがある。世間で注目をあびた事件の犯人をネット上で晒すという趣旨のサイトだ。 未成年者が起こしたセンセーショナルな凶悪事件。 名古屋のアベック殺人や多発するホームレス殺人、はたまたイジメ自殺事件などを取り上げ、ネット住人が独自に収集した犯人の写真をアップする。 しかし、その真偽のほどは実にいい加減だ。 記憶に新しいのは綾瀬の女子高生コンクリート詰め殺人の犯人と決めつけられ、執拗な脅迫などを受けたスマイリーキクチ。 彼は言われなき罪で、徹底的に叩かれた。 かく言う大学生のTさんも過去にそういった仕打ちを受けたことがある。スマイリーと同様完全に人違いだ。 ネットで犯人として晒される恐ろしさと顛末を聞いてほしい。

突然のメール「お前は氏ね!」

2年前、高校を卒業し、大阪の工大に入学したオレは、学業もそこそこに、大学生活をエンジョイしていた。 その頃はじめたのが、『mixi』よ『アメーバブログ』。変化のない毎日だが、大学のこと、友達との遊びや趣味のサーフィンのことなどをちょくちょく更新していた。 プリクラの画像や名前、趣味、出身地など、何の疑いもなしに載っける。まぁ、悪用しようもないし…そんな軽い気持ちだった。しかし、これが恐ろしいネット無法地帯への入り口だった。 ある日、バイトに励んでいると、ケータイのバイブがとまらないことに気がついた。ふとチェックすると、非通知着信が42件、見覚えのないアドレスからのメールが64件。な、なんだ、コレは?! そのメールの中身とは? 【イジメられた女の子の恨みは忘れない! おまえは絶対に死刑!】 【氏ね! 氏ね! 氏ね!】 【地獄へ落ちろ!】 その憎悪に満ちた内容に絶句した。ど、どういうこと? 留守電には、無言電話や「死ね!」という言葉が吹き込まれている。オレは急いで、昔からの友達に連絡を入れた。 「おい! オレのケータイにおかしな内容のメールとか電話が入ってきてる! コレってどういうこと?!」 「それって、ネットで晒されてるんちゃうか? おかしなところに載せられてたら一大事やぞ!」 すぐにネットを確認。こ、これは……ヤ、ヤバ! 開いてみると、《50音順:クソガキ凶悪犯罪者どもの顔と名前・住所・携帯番号・メアドをすべて曝します! (すべての学校・企業の面接担当者、結婚相談所の方、皆さん、ぜひ、ご活用ください)》などとある。うわ~、最悪だ。 そこにあったオレの名前は千葉県で起こったX市の中学いじめ自殺事件の加害者として掲載されていた。 2000年に起こったその事件は、葬式ごっこや悪口で女性と1人を集団でいじめ、自殺に追い込んだ事件だ。学校側の「いじめはなかった」という誠意の感じられない対応がマスコミを一時騒がせた。確かにオレの出身地だが、学校が違う。 俺の名前をクリックすれば、『mixi』に載せた顔写真が。さらには携帯電話の番号にメールアドレスまでが晒されている。 それを確認している間にも、メールと着信は止まらない。な、なぜ?! その後オレは、救いのないネット社会の恐ろしさをさらに味わうことになる。

SNSに書き込む方が悪い

この事態をどうしたものかと考えあぐねていると、実家から電話があった。 「〇〇ちゃん、無言電話があったり、中身が入ってない《督促状》って書いてある手紙が届いてるけど、何コレ?」 「知らない! おかしなことがあっても無視してくれ!」 ど、どうしよう……。 それからは、オレのブログへの中傷書き込みが増え、閉鎖。そんなとき、オレは一本の電話を取った。 「もしもし!」 「ああ、あなたがイジメで人を殺した山下ですか?」 「オレはやってません! 学校も違うんです! 間違いで載せられてるんですよ!」 「誰でも、そう言いますから」 男は、晒しにあった相手に電話(凸電というらしい)を掛け、そのやり取りを自分のホームページ上にアップしているらしい。 男と話していくうちに、なぜ自分が犯人と間違われたのかを推測するヒントをいくつか手にできた。 ひとつは出身地が加害者と同じ。二つ目は、名前が似ていたということだ。たったそれだけ。そういう間違いはよくあるらしい。そんな凡ミスで間違われるなんて、冗談じゃない。 オレは友人の勧めで、大阪府のサイバー警察へこの掲載は名誉毀損にあたると、表示画面とURLを印刷したものを持参した。 ネット犯罪の専門家がいると聞いていたが、出てきた警察官は面倒くさそうに対応する。嫌な予感がした。 警察官が言うには、こういった「晒し」が広まる手口として、自動的なに誹謗中傷メールを送るプログラムを使用したり、悪意のある言葉をサイトのBBSなどに他者を装い書き込んで伝染を利用するものなど、様々らしい。 犯人のネットスキルも高く、アクセス情報などを改ざんしたり、発信者の身元が分かりにくいようにしているケースもある。 「下手に誤解を解こうと反論すると相手はどんどんエスカレートしてまうのよ。話がマトモにできるような連中ちゃうから……。まぁ、いずれにせよ、1回流出してしもうた情報を全部回収するのはムリやね」 「で、でも、僕はやってないんですよ!」 「SNSに書き込む方が悪い。標的になってしもたんは自分のせいやね。注意力が足らん」 その後に続いたのは、警察はサイトまで入る権力はないと言っても過言ではないや法律での効力さえも及びにくいという言葉だった。 では、なんのためにサイバー警察は存在するのか。オレは警察官の言葉に愕然とし、署を後にした。 オレはそれからあの警察官の名前を出し、プロバイダに相談。サイト管理者の誤解を解いて削除依頼した。 現在ではやっとの思いで自分の名前がネット上から消えた。 ネット住人は必要以上の正義感と思い込みは恐ろしい。 もしこんな事態に陥ってしまった場合の有効な手段は「警察に通報した」という言葉だけだ。 無料のホームページスペースや掲示板であれば、サービス提供業者に削除依頼を出すくらいしか手はない。 いずれにせよ、自分の特定につながる情報をホームページなどに絶対に載せるのは止めよう。(丸野裕行) 次の記事「逃走中の強盗が立てこもった恐怖!主婦が犯人と過ごした、白昼の5時間(1)」 前の記事「ガテン系社長に鉄槌を!絶対にマネしてはいけない過激な復讐法(4)」