コミュニケーションの順番にご用心! 相手の心の扉を開ける究極のコミュニケーション術

クレジットカードでは、富裕層向けにコンシェルジュサービスを提供しています。世界でNo.1コンシェルジュとして、14年間、16万人に接客してきた網野麻理さんに、コミュニケーションの順番を意識した「相手の心の扉を開ける」究極のコミュニケーション術を教えてもらいました。


コミュニケーションには順番がある?

富裕層向けのコンシェルジュサービスのコミュニケーターの仕事では、お客様との関係をいかに築いていくかが求められました。しかも、電話という「声」と「耳」だけの世界です。答えのない中で、たくさんの失敗と成功を重ねました。

さまざまなお客様との信頼関係を構築するために、意識するようになったことは、「コミュニケーションの順番」です。

初対面の相手にいきなり土足で入られた気分になったことはありませんか? たとえば、「お仕事は何をされているんですか?」と聞かれたあとに、「年収はおいくらですか?」と尋ねられたら、不快に思うのではないでしょうか。「関係性が浅いこの人に、なぜそんなことまで話さなければならないのだろう」と感じるはずです。

コミュニケーションは、相手との関係性を見ながら話題を変えていく必要がある上、話題を変えるタイミングも測らなければなりません。こんなことがありました。

心の距離

あるお客様から電話を受けました。そのお客様は、いつもは先輩を指名されるのですが、たまたま先輩が不在だったため、網野さんが応対することになったのです。とても気さくな方で、親しみやすい雰囲気をお持ちでした。お客様は、その日を境に、先輩が不在の場合には網野さんを指名するようになりました。網野さんはとてもいい関係が築けていると思っていました。

しかし、そのお客様が先輩と会話をしているのが何気なく聞こえてきたときに、あることに気づきました。それは、「話す内容の濃さ」でした。先輩と話をされているときは、プライベートの話題が多く、かなり込み入った内容を話しているのです。

つまり、網野さんと会話をされているときのお客様は、ご依頼に関する最低限のことしか話をしていないことに気づいたのです。そのお客様と心の距離を感じた瞬間でした。

網野さんも先輩にならってお客様のプライベートのお話をうかがい、心の距離を埋めたいと思ったのですが、なかなかすぐにはうまくいきません。結局、その後もお話しする機会はあったものの、プライベートについてお話しするまでには至りませんでした。

心に存在する5つの扉

人との関係を構築するには、順番があります。本心を語ったり、相手に心を許すまでには、何枚かの扉が存在するのです。しかも、扉の開き方もさまざまで、少しずつ開いていく人もいれば一気に開く人もいます。

少しずつ開いていくタイプの人であれば、こちらがいきなり一番奥の扉を開けに行こうとしたら、デリカシーのない人だと思われ、扉に鍵を閉めたいという気持ちになってしまいます。扉を開ける速度も、人によって違います。相手のペースに合わせながら、扉の開け方や速度を変えていかなければなりません。

ここで、よりわかりやすくするために、扉の枚数を可視化してみましょう。たとえば、職場での人間関係の深さを扉の枚数で示すと、以下のとおりになります。

扉の枚数0枚
心が全部開かれている状態で、何もガードせず、ありのままの自分でいられる関係。

扉の枚数1枚
恥ずかしいことや、嫌な過去、自分の秘密も話せる関係。

扉の枚数2枚
仕事以外でも食事に行くなど、プライベートでも一緒に過ごせる関係。

扉の枚数3枚
仕事の中でプライベートの話もできる関係。

扉の枚数4枚
仕事以外の話はしない関係。

扉の枚数5枚
心を閉ざしている状態で、できれば顔を合わせたくない関係。

次に、お客様が網野さんに対して持っていた扉を想像すると、以下のとおりとなります。

扉の枚数0枚
毎回指名する関係。かつ、個人的なことも伝えられる関係。

扉の枚数1枚
毎回指名する関係。かつ、細かな指示をしなくても、依頼を任せられる関係。

扉の枚数2枚
毎回指名する関係。ただし、依頼事項は指示が必要という関係。

扉の枚数3枚
普段は指名するが、不在であれば他の人でもいいという関係。

扉の枚数4枚
普段は他の人を指名するが、不在だったときに応対してもらう関係。

扉の枚数5枚
指名はしたくない関係。

先ほどお話ししたお客様は、先輩に対しては扉が0枚。しかし、網野さんに対しては扉が4枚閉まっている状態だったのです。

扉が開くのを待ち続ける

信頼を得るためには、常に自分の立ち位置を見極め、お客様との距離感を適切に測る力が求められます。お客様によっては、初めてのお電話で一気に扉を開いてくださる方もいらっしゃれば、時間をかけてゆっくり開いていく方もいます。

大切なのは、お客様のペースに合わせ、距離感を調整することです。そして、自分はいつもオープンマインドでお客様と接し、扉が開くのを待つこと。

扉を開くのは、あくまでもお客様ご自身です。自分はその扉を開いていただけるよう、信頼されるコミュニケーションを常に意識していくことが、信頼関係の基盤を築く最大のポイントです。人には5つ心の扉があり、それぞれ枚数や開け方が違うことを意識しましょう。

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