教養主義を問い直す

世の中から教養が失われたと言われて久しいです。かつては複合的に結びついていた知識が、グーグルをはじめとする検索エンジンに置き換えられ、ウィキペディアあるいはまとめサイトなどの情報に取って代わられています。


今こそ教養主義の復権?

そんな時代において、あえて教養を取り戻そうとする野心的な本があります。大澤聡による『教養主義のリハビリテーション』(筑摩選書)です。著者は『批評メディア論』(岩波書店)において、近代日本の言論空間を描き出し話題となった人物です。この時代は有名な作家や評論家など人を軸に語られることが多いのですが、本書は雑誌というメディアそのものに着目した新しい本だと言えます。この本で著者はさらに時代を進めて、近代にはじまり現代までの教養主義は何を果たしうるかということに真摯に向き合っています。

注釈も豊富

本書は著者の他に竹内洋、吉見俊哉、鷲田清一による討論が記されています。お互いの知識を披露してぶつける中で、あたらしい知の発見に出会っていく。そうした教養のダイナミズムを知ることのできる本でもあると言えるでしょう。さらには、注釈も豊富に用意されていますから、ここで語られている内容から自分で新しく本を読んで教養を深めていくことも可能です。教養という言葉になんとなく惹かれる人ならばまず手にとって損はない本になっています。

    
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