教育大国フィンランドがはらむ不安 -現場はもっと複雑-

教育関係者の中ではホットな国フィンランド。日本でのゆとり教育失敗を受け日本の教育者は、世界一の教育を誇り、教育熱心な国として知られているフィンランドに急速に焦点を当てました。しかし、フィンランド教育の良い所だけ頂いて全てが上手くいくということはありえません。今回は良い点ばかり注目されているフィンランド式教育を輸入するに当たって知っておくべきことを紹介します。


フィンランド基本情報

  • 人口: 約540万人(北海道とほぼ同じ2011年時点)
  • 年間気温: 夏は平均気温20度ほどで
  • 国土: 338,144km2(日本から九州を除いたほどの国土)
  • 税金:税率は高く食料は18%、ガソリンは60%
  • 産業: 森林業/金属/エンジニアリング/IT
  • 労働時間: 8時間労働で残業なし
  • 失業率: 7.8%(2011年時点)
  • 授業時間: 年間500時間(日本は700時間)

1. 「平等」の意味

義務教育は小学校から中学校までの9年間で日本と同じです。そこでは、「平等」が重視されています。この際の平等は「能力に格差のある子どもが不利な扱いを受けない」という意味での平等で、日本の平等とはニュアンスが違います。日本の平等は「全ての子どもの教育結果を全て同じにする」という平等なのです。高校からは日本よりも激しい実力主義の世界が広がっています。進学は中学校時代の成績を元に決められるので、成績の良い生徒は成績が良い学校に集まり、母集団の学力が高い学校が出来上がります。

2. フィンランドの授業環境

日本の教師とフィンランドの教師とでは職務も環境も全く異なります。日本の教師は、授業を教え、部活を指導し、時には生活指導をするなど、職務はとても多岐にわたります。一方で、フィンランドの教師の職務は「授業を教える」ことのみ。生活指導などは行わないのです。自主性を重んじている文化も相まって、授業環境は悪いそう。授業妨害が問題になっており、校内暴力も右肩上がりの成長を見せています。

3. フィンランドの教師

フィンランドの教師はレベルが高いと言われます。確かに、高学歴で過酷な競争をくぐり抜けてきた教師のレベルは高いです。フィンランドの教師という職業はオイシイ職業だったりもします。勤務時間も短く自由な時間が多く、学校でのトラブルに関わる必要もない上、アルバイトも可能なのです。

単純に他国と日本を比べ、良い所は模倣しようと言うのは簡単です。しかし、そのまま輸入するのは、その方法が孕んでいる問題もそのまま輸入するということなので、良くなるかどうかは微妙なところです。その時その国の状況にあった形で輸入することが大切です。日本が常に海外の文化を和洋化してきた歴史を踏まえ、検討していくことが大切でしょう。

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