高齢者が、短期間で「要介護状態」になってしまう理由とは?

「お母さんが倒れた!」 こんな切迫した状況が、明日にでも、あなたとあなたの大事な家族に振りかかるかもしれません。 一命はとりとめたものの、長い間入院しているうちに、ベッドで寝たきりになってしまうという話をよく聞きます。 「大事に至らなくてよかった……」 と安心したのもつかの間、「身内の介護」という問題が始まることになるのです。 この記事では、『介護で会社を辞める前に読む本』山下哲司著(ダイヤモンド社)の中から、高齢者が短期間で要介護となってしまう理由についてご紹介します。

生活全体に対する意欲が低下しているサイン

介護をするようになった人たちの多くは、 「あのとき、そういえばこうだった」 と、親が介護状態になる前に、違和感を感じていたと言います。 あなたは、老齢と呼ばれる年代を迎えた親と接していて、 「なんだか、いつになく、ぼんやりしているな」 と感じたことはありませんか? 「年をとっただけ。親はまだまだ元気だ」 子どもはついつい、そう思いたがってしまいます。 しかし、あなたがいまそう考えているのなら、それは甘すぎます。 親は確実に年をとっていきます。 もし、あなたの両親が、 「どこに行く?」「どうしたい?」「なにを食べる?」  というあなたの問いかけに対して、 「どこでもいい」「とくにない」「なんでもいい」 といった返答をするようになったら、 生活全体に対する意欲が低下しているということが考えられ、 どこかになんらかの問題を抱えている可能性があります。 このようなサインに気づいたら、早めに病院へ行って、 検査をしてもらうというのもひとつの手段です。

なぜ高齢者は短期間に要介護状態となってしまうのか

朝、起きて、布団から起き上がる。 洗面所まで歩いて行って、顔を洗う。 朝ごはんを作り、食事をする。 トイレに行って、便座に座り、用を足す。 このように、毎日当たり前のように繰り返してきた生活動作が、ままならなくなっていくのが、高齢者です。 たとえ元気な方でも、日々の活動量が減っていくことで、だんだんと筋肉が動かなくなっていきます。 このように動かなくなっていく筋肉を“不活動筋”と呼びます。 “不活動筋”が増えると、寝床からなかなか起き上がれなくなったり、椅子にドスンと音を立てて座るようになったりします。 それはまるで、私たちが、熱を出して数日間休んだ後、外に出て久しぶりに歩いたときに感じる、病み上がりの、ふわふわと足がおぼつかない感じに似ています。 それが、高齢者たちにとっては日常になっていくのです。 そういうことが重なって、さらに活動量が減ると、ますます“不活動筋”が増え、立てなくなり、しまいには寝たきり状態になってしまいます。 これが、高齢者が短期間で要介護状態になってしまう理由です。

不活動筋が増えると、体を動かす意欲もなくなっていく

高齢者の方は、1週間入院すると筋肉量が20%落ちてしまうという報告もあるようです。 肺炎や骨折などで入院したのをきっかけに、寝たきりになってしまうのは、“不活動筋”が増えてしまうことに原因があったのです。 “不活動筋”が増えると、身体を動かす意欲がどんどん低下して、“不活動筋”がさらに増えてしまうという悪循環に陥ってしまいます。 「リハビリ型デイサービス」を広めている山下哲司氏は、“不活動筋”が増えてしまったとしても、リハビリによって、もとの“活動筋”に戻してあげることができると言います。 山下哲司氏の著書『介護で会社を辞める前に読む本』(ダイヤモンド社)には、リハビリによって要介護状態が改善した下記の例などが紹介されています。 ○車いすの状態の人が、リハビリを続けることで車いすがいらなくなった ○歩行器が必要だった方が、杖だけで歩けるようになった ○重度の嚥下障害の方が胃ろうも取れ、ゴルフを楽しむまでに回復した 書籍の中には、自宅でもできるリハビリ体操も紹介されていますので、親の筋力低下が気になる方は、試してみてはいかがでしょうか。