身体のトラブルを擬人化して対話する心理療法とは

身体のクレームと向き合う際、病気を擬人化する心理療法を行うことがあります。いったいどういうやり方をするのか見てみましょう。


かゆみを擬人化したAさん

ある患者さんの例をご紹介しましょう。
「肌がかゆくてたまらない」という症状で来院されたアトピー患者のA子さん。私は彼女の「かゆみ」を擬人化させて「Bさん」と名づけました。
A子さんに、Bさんになってもらい、私が「Bさんは今どんな気持ちなの?」と質問しました。するとA子さんはBさんの気持ちになってこう答えました。
「私はすっごい暴れん坊! 暴れたい! 太鼓をばんばんたたきたい!」
A子さんはおっとりしたタイプなのですが、かゆみを擬人化したBさんになってもらったとたん、ガキ大将のような暴れん坊の本性が顔を出してきたのです。
不思議に思われるかもしれませんが、A子さんは実際に太鼓の練習を始めて思う存分太鼓をたたいてうっぷんを発散することで、かゆみがひいたそうです。

子宮筋腫の声を聞いたCさん

別の患者のC子さんは、子宮筋腫でした。彼女は「私は外で仕事をしたいけど、夫のこともあるし、たいしたこともできないただの主婦だから……」という優柔不断な感じのおとなしそうな女性でした。
しかし、C子さんの子宮筋腫に「Dさん」という名前を与えて擬人化したとたん、DさんになったC子さんは傲慢にこう言い放ちました。
「私はどんどんどんどん大きくなる! もっともっと大きくなって、全世界をのみ込んでやる!」
C子さんの中には、実は全世界をのみ込んでやりたいほどのエゴがひそんでいたのです。そうした激しいエゴを包み隠して生きていることで、子宮筋腫がどんどん肥大化していたのでしょう。
C子さんがそのことに気づき、思い切って外で仕事を始めたとたん、子宮筋腫も徐々に小さくなっていきました。

病気を擬人化する心理療法

A子さんもC子さんも、チャイルド化して暴走している病気にエネルギーを奪われてしまっていたのです。
単に病気そのものをたたいても、病気は激しいクレームなので、言い分をちゃんと聞いてあげないと、なかなかおとなしく治ってくれません。
こうした心理療法は誰にでも適用できるわけではありませんが、病気を擬人化し、その本音を引き出すことで、その人の病の根本原因を探ることができます。

肌を若返らせるには、肌トラブルを起こしているやんちゃな子どもと、それによってエネルギーを奪われて疲れている自分とがうまく折り合いをつけて、分離した子どもの若さをカムバックさせる必要があります。

ニキビと対話するコツ

たとえばニキビができたとき、ニキビと対話するときのコツを教えましょう。
ニキビには、単に「ニキビさん」という擬人化させた病名はつけません。
「ブツブツ」とか「ボコボコ」とか、感覚的な幼児語の名前をつけて紙に書き、実際に「ブツブツブツブツ」「ボコボコボコボコ」と声に出してみましょう。
「ブツブツ」と感じる人は、実際の生活のなかで「親が小言をブツブツ……」「上司が文句をブツブツ……」と、何かしらブツブツしたストレスを抱えています。

肌トラブルの声を聞き分ける

あるいは、同じニキビを「かゆーーーい」と表現する人と、「みんなはツルツル、私はザラザラ」と表現する人では、その人が最も気になているストレスの根っこが違うことが推察できます。
たとえば「かゆーーーい」と表現する人は、「こんなにかゆーーーいのを誰かわかって!自分のこの苦しみを理解して!」というストレスに悩まされています。
「みんなツルツル、私はザラザラ」と表現する人は、自分の肌がなめらかでないことを最も気に病んでいるといえます。
そうした肌トラブルの声を聞き分けることで、肌トラブルを克服していくことができます。

まとめ

病気は目に見えないストレスが表面化したものと言えるのかも知れません。自分の身体の声を聞く、というとちょっと不思議な感じがしますが、マイナートラブルに悩まされているなら、この症状を擬人化してみる方法を試してみてはいかがでしょうか

参考書籍『日本人の肌はなぜ世界一美しいのか?』主婦の友社 (2016/7/15)  著者:渡辺奈津

    
コメント