目の疲労感は「脳」の疲れが引き起こす! 目が疲れる本当の理由

パソコンなどで長時間仕事をすると、目に疲れを感じます。目が充血するような血圧の上昇や、「ずきずきする」と感じるような動悸が伴い、目頭を押さえてマッサージし、「コリをほぐす」ようなイメージで疲労回復を図っている人もいるのではないでしょうか。

しかし実際には、マッサージしてもおおもとにある疲れはとれません。なぜなら、目の疲れは、実は脳の疲れが原因だからです。


脳が疲れると目の視野が狭まる

脳が疲れると「視界が狭まる」ことをご存知ですか。人間が情報を集めるとき、その80%は視覚から得ているとされています。視覚からの膨大な情報を遮断すれば、脳はその分を他に回せるので、ものをじっくり考えるときや、落ち着きたいときに目をつぶるのも、脳に蓄えた情報を整理するための動作といえます。

目で見ることで認識できる範囲のことを「周辺注意力視野」と言います。脳は疲れてくると、周辺注意力視野を狭め、通常見なければならない最低限の範囲だけにしてしまいます。ほかの部分は、視界に入っているのに脳に認識されない、つまり「見えていない」状態となります。

これは、過度な疲れに対する脳の防御反応のひとつ。こうなると中央にしか視界が確保されず、視界の端である横や、やや後ろにはほとんど注意がいきません。遊びの帰り道で車の事故が多いのも、疲れた状態での運転が、脳にさらなる負荷をかけ、それに対する防御反応として視野が狭まったことが理由の一つです。

眼精疲労は目そのものの疲れではない

テレビのドキュメンタリーなどで、サバンナに生きる動物たちの様子を目にしたことはあるでしょうか。ライオンが、遠くの獲物を見定め、体の筋肉を臨戦態勢にしながら徐々に近づく様子などは、緊迫感のあるものです。

このときのライオンは、自律神経のひとつである「交感神経」が優位な状態にあります。動物が、興奮したり、活発に活動したりする際、自律神経では交感神経が優位に働くことが知られています。反対に、眠る前やリラックスした状態のときには、「副交感神経」が優位に働きます。ちなみに、交感神経と副交感神経は、両方同時に活発に働くことはありません。

人間の祖先も、長く狩猟をして暮らしてきました。今のように双眼鏡があるわけではありませんから、ライオンと同じように狩りの時は遠くを見て獲物を見つけなければいけません。一方で、狩られる側である草食動物たちも、少しでも早く危機を察するためには、遠くを見る必要があります。

おわかりでしょうか。遠くを見るということは、動物にとって、戦闘状態へとつながる緊張感の前触れになっている行為なのです。だから脳は、「遠くを見つめる=交感神経優位」の仕組みが備わっています。

逆に、近くを見つめると自律神経は副交感優位となります。どんな動物でも、母親が胸に抱いたわが子を見ているようなときは、副交感神経が活発に働いているリラックス状態といえます。

話を現代のわたしたちへと戻します。眼精疲労は長時間のデスクワークがきっかけとなることが多いですが、そのとき体にはどのような異変が起きているのでしょう。仕事中には、体はいわゆる戦闘モード。交感神経が活発に働いている状態です。

しかし一方で、すぐそこにあるパソコンやノートなどに目線がいき、近くを見ながら作業をしています。本来の仕組みとしては、近くを見るときには副交感神経が優位にならなければいけません。

ここに、矛盾が生じます。その矛盾は、脳にパニックを起こし、それが目の疲れを引き起こす大きな要因となっていると考えられます。つまり、眼精疲労というのは、自律神経が引き起こす疲れの症状だったのです。

目の疲れにはときとして目が充血するような血圧の上昇や、「ずきずきする」と感じるような動悸が伴いますが、これはすべて脳にある自律神経の中枢が関与することであり、目の疲れが脳の疲れであることを裏付けています。

目の疲れの真実

このように、動物が獲物を探すときのように、脳が緊張して活動するときには、目は遠くを見るように設計されています。逆に、お母さんの顔を見ながらおっぱいを飲む赤ちゃんのように、安心してリラックスしているときは、近くを見るようになっているのです。

ところが、近年、人間だけがパソコンなどで仕事をするとき、脳は緊張して活動状態を保たなければいけないのに、目は無理に近くを見ることを求められるようになりました。この矛盾が脳を混乱させるのです。

つまり、疲れるのは、脳が緊張状態にも関わらず無理に近くを見るように指示を出す自律神経中枢なのです。そしてその結果が、目の疲労感として表れていたのです。

次の記事

「目や体のなどの疲れの原因!? 体でもっとも疲れている自律神経」

前の記事

「疲れがたまると病気になりやすい? 疲労からくる病気の種類」

情報取材先

「日本予防医薬」

    
コメント