特売しょうゆはなぜ安いのか? 本当のしょうゆではない「しょうゆ風調味料」とは

1リットル1,000円のしょうゆもあれば、198円のしょうゆもあります。また、月に一度の安売りで138円になる特売しょうゆもあります。この安い特売しょうゆは、本当の醤油ではない「しょうゆ風調味料」なことが多いのです。


「しょうゆ風調味料」とは?

「しょうゆ風調味料」とは、本物のしょうゆとは違う製造法でつくられた「しょうゆの代替品」のことです。「ニセモノ」と言っては少し語弊があるかもしれませんが、それでも本物のしょうゆとはまったく別物です。

こうした添加物を駆使してつくられた「ニセモノ」が、現在、調味料の世界にはびこっています。私たちの食卓の調味料は、知らないうちに「本物」から「ニセモノ」にすり替わりつつあります。

本当のしょうゆの原料とは?

昔ながらのしょうゆの原料は、大豆と小麦、塩とこうじです。こうじからつくられた酵素が、大豆や小麦のたんぱく質をアミノ酸に、でんぷんを糖分に変えます。これがしょうゆのうまみの素です。

この「うまみ」は実に多様で、甘みもあれば酸味もある。こうばしい香りも出る。化学では解析できないぐらいの複雑な味が醸し出されるのです。また、しょうゆの色はアミノ酸が糖の一部と結びついてできます。すべてがこうじの力だけでしょうゆをつくり出すのです。

手間もかかれば時間もかかる。出来上がるまでは1年以上かかります。これが昔ながらの本物のしょうゆです。

「しょうゆ風調味料」のつくり方

これをもっと早く、コストをかけずにできないかという考えから、しょうゆの代替品の開発が始まりました。しょうゆのうまみの素はアミノ酸です。このアミノ酸。時間をかけて発酵させなくても、大豆などのたんぱく質を塩酸で分解すれば、簡単につくることができます。

このとき使う大豆は、油を絞った絞りかすである脱脂加工大豆で十分です。「たんぱく質からアミノ酸」という図式で、鳥の羽からアミノ酸を開発しているメーカーもあったほどです。こうしてできたアミノ酸液が特売しょうゆのベースとなりますが、これにはしょうゆらしい味も香りも色もなにもありません。

ところが、これをいかにも本物らしく仕立て上げるのが添加物の力です。まず「グルタミン酸ナトリウム(化学調味料)」でうまみを出し、「甘味料」で甘みをつける。酸味を出すために「酸味料」も入れます。「増粘多糖類」を数種入れてコクととろみを出します。色は「カラメル色素」で着色します。香りづけのためには本物しょうゆを少々足します。日持ちが悪いために「保存料」も加えます。これで「しょうゆ風調味料」の完成です。

本物しょうゆと見かけはそっくりではありますが、製法はまったく違う。本物しょうゆは1年以上かけてつくられると述べましたが、「しょうゆ風調味料」なら1ヶ月もかからずにできます。混ぜ合わせるだけですから簡単です。味だって、本物のしょうゆが持つ複雑なうまみにはとても及びません。煮物をつくれば違いは明らかです。

1リットル1,000円と198円のしょうゆの違いは?

昔ながらの本物しょうゆを「丸大豆しょうゆ」と呼ぶのに対し、こうした「しょうゆ風調味料」は「新式醸造しょうゆ」などと称して売られています。「丸大豆しょうゆ」と「新式醸造しょうゆ」の違いは、ラベルを見ればすぐにわかります。

「丸大豆しょうゆ」の原料は「大豆、小麦、食塩」のみで、添加物は一切ありません。それにひきかえ、「新式醸造しょうゆ」のほうは添加物がいっぱい並んでいます。特売しょうゆを使うだけで、7種類も8種類も添加物を摂取してしまうことになります。

特売の醤油が安いのは、本当のしょうゆではない「しょうゆ風調味料」であることが多いからです。食品のからくりを知ることで、食品添加物の怖さが見えてきます。

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