なぜ数の子は黄金色? 過酸化水素による「危険」な漂白が綺麗な色の秘密だった!

数の子の原料となるスケソウダラの卵は薄茶色です。それなのに、なぜ数の子は黄金色なのでしょうか? その秘密は漂白剤である過酸化水素に秘密がありました。


数の子は薄茶色

昔は数の子といえばぜいたく品で、お正月以外はなかなか口にできませんでした。しかし今は、安い輸入物が大量に日本に入ってくるため、1年中食べられるようになりました。ところで、気になるのは、あのあまりにもきれいな色です。スーパーの魚売り場にはたいてい立派な数の子が並んでいますが、汚れ一つない「黄金色」をした商品がほとんどです。

数の子はスケソウダラの卵子です。それは本来薄茶色をしていて、それほどきれいには見えません。血がついていることもあります。ところが、市販のパック入り数の子は透明感のある「黄金色」をしています。

「何か添加物が使われているのでは?」と感じる人が多いと思いますが、パックのどこを見ても添加物の表示はありません。しかし、実際には過酸化水素が使われているのです。それにはひじょうに強い漂白作用があります。だから、あのようにきれいな色をしているのです。

過酸化水素は発がん性あり

過酸化水素は、消毒薬のオキシフルの成分です。過酸化水素は活性酸素を発生させ、それが細菌の細胞を破壊して殺すのです。活性酸素は色素も壊すので、強烈な漂白作用も持っています。それを利用して、数の子をきれいにしているのです。しかし、実は過酸化水素には発がん性があるのです。

1980年1月11日、旧・厚生省は「過酸化水素に発がん性があることが分かったので、食品に可能な限り使用しないように」という通達を食品業界に出しました。同省の助成金による動物実験で、発がん性が確認されたからです。その実験とは、飲料水に0・1%および0・4%の濃度に溶かした過酸化水素をマウスに74日間飲ませたところ、十二指腸にがんが発生したというものでした。人間にも十二指腸があるので、同様な危険性があるわけです。

しかし、困ったのは食品業者でした。この頃、過酸化水素は漂白剤や殺菌料として、ゆでめんやかまぼこ、数の子などに使われていたからです。業界は混乱し、この通達によってこうむった損害を賠償するように、日本政府に要求した食品業者もありました。

こうした動きに厚生省はうろたえてしまい、「過酸化水素を使ってもよいが、製品に残存しないように」と、規制を後退させました。ところが、過酸化水素が残存しているかどうかを調べるのは難しく、当時はまだその技術が確立されていませんでした。結局、残存しないことを確認できないことが分かり、事実上の使用禁止となったのです。

数の子業者の攻防戦

これで一番困ったのは数の子業者でした。ゆでめんやかまぼこなどは、ほかの食品添加物を使うことで対応できましたが、数の子の場合、きれいに漂白するための添加物がほかに見つからなかったのです。そこで、業界をあげて過酸化水素を取り除く研究が始まりました。

そして、翌年にはその技術が開発されました。それは、数の子を漂白した後に残った過酸化水素を、「カタラーゼ」という酵素で分解し、取り除くという方法でした。そこで厚生省は、「最終食品の完成前に分解または除去すること」という条件の下に使用を再度、認めたのでした。

数の子の漂白には過酸化水素が使われている

今も数の子の漂白には、過酸化水素が使われています。塩数の子で、やけにきれいな色をしている製品は使われている可能性があります。そして、それらには過酸化水素が残っているかもしれないのです。

「過酸化水素を使っていない数の子を食べたい」という人には、しょうゆで味つけされた製品がおすすめです。しょうゆで茶色っぽく色づけされているため、きれいに漂白する必要がなく、過酸化水素が使われていないからです。

ただし、原料の段階で漂白されてしまっている数の子を使用した場合は、こうした製品でも過酸化水素が使われている可能性があります。したがって、100%使っていないとはいえませんが、きれいな塩数の子に比べれば、使っていない確率は高いといえます。

数の子を食べるときは、綺麗なものより茶色のものを選ぶと安心です。

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