糖尿病治療におすすめの食事療法「糖質制限食」

糖尿病は肥満と深い関係があり、糖尿病の治療においては肥満を解消することを目指します。なぜなら、肥満しているとインスリンの効き目が悪くなるからです。糖尿病はインスリンの働きが足りない病気です。そこで、肥満を解消してインスリンの効き目を良くする必要があります。


肥満の原因

人間が肥満してしまうのは、使っているエネルギーよりも取り込んでいるエネルギーが多いからです。必要な量よりもたくさん食べ過ぎているか、または、毎日使っているエネルギーの少ないことに原因があります。

糖尿病が増えている主な原因は過食と運動不足です。先進国では食料が豊富になり、交通手段の発達や労働における機械化などであまり体を使わずに済むようになりました。昔の生活スタイルと比較して運動で消費するエネルギーが減っているにもかかわらず、食べて摂取するほうのエネルギーが減っていないのです。そのため、エネルギーの超過している人が増えたわけです。

食事のカロリーを抑える食事療法が効果的なのは、過食気味の食生活の改善になるからです。つまり、毎日の生活のあり方に、糖尿病の最も重要な原因があるわけです。そのため、糖尿病は生活習慣病と呼ばれています。

糖尿病治療には「食事」が重要

治療のために肥満を解消するとき、生活習慣を変える必要があります。糖尿病の治療では食事、運動、それでダメなら薬という順番になります。特に重要なのが食事です。肥満しやすい食習慣を変えることが、何よりも糖尿病の治療になります。

そして、食事治療で最も大切なことは長く続ける必要があることです。糖尿病の治療食は一時的なものではなく、一生続けなければなりません。食習慣を改善して肥満を解消し、血糖値が下がったとしても、糖尿病が治ったわけではありません。もし、食習慣を元に戻してしまうと、血糖値も元通り高い状態になってしまうのです。

なぜなら、糖尿病は根本的に治すのが非常に難しい病気だからです。糖尿病の治療とは、根本的に治すのではなく、血糖値を適正に保つようにコントロールし続けることなのです。

現在の糖尿病治療で血糖コントロールの重要な指標となるのがHbA1cという数値です。血糖値は食事からの時間や活動状況によって変動しますが、HbA1cは活動などによって急激には変化せずに最近の血糖の状況を安定的に表現します。つまり、血糖コントロールの状況を把握するのに適しているわけです。

糖質だけが血糖値を上げる

血糖値を適正に保つ食習慣を身につけることが、糖尿病のコントロールでは最も大切です。糖尿病にとって最も恐ろしいのは合併症であり、合併症の危険を防ぐには食後高血糖を避ける必要があります。

なぜ、食事の後で血糖値が上昇してしまうのでしょうか? それは、食事により糖質を摂取しているからです。ちなみに、三大栄養素と呼ばれるたんぱく質、脂質、糖質のうち、血糖値を上げるのは糖質だけです。たんぱく質や脂質を食べても食後の血糖値上昇はありません。

糖質を食べると血糖値が上がる理由

糖質はでんぷんや砂糖などです。これらを食べると、人間の消化器官は分解してブドウ糖にします。糖質は分解されてブドウ糖になります。このブドウ糖は吸収されて血液の中に入ってきます。血液中のブドウ糖とは血糖のことです。食事で糖質を摂ればすぐに血糖が増えてしまうのです。

これに対して、たんぱく質や脂質は食べて消化器官で分解されてもブドウ糖にはなりません。ただし、身体の中でブドウ糖に作り変えることはできます。そのため、以前はたんぱく質や脂質もある程度は食後血糖値を上げると考えられていました。

ところが、最近の研究では、たんぱく質や脂質は食後血糖値をほとんど上げないことが明らかになっています。糖質の摂取が少なくてブドウ糖の需要に供給不足が生じそうなときには、たんぱく質や脂質からブドウ糖を合成して不足を補充することはできるのですが、ブドウ糖の必要量を充たす程度に糖質を摂取していれば、たんぱく質や脂質からのブドウ糖合成はほとんど生じないと考えられてます。

そのため現在では、食後血糖値を上げるのは食事での糖質とされています。この事実に基づき、食事療法において糖質を摂る量に注意を払うことが大切なのです。

糖質制限は食後高血糖を抑える

糖尿病の合併症のリスクは食後高血糖を避けることで減らせます。そして、食事で糖質を摂るほど血糖が増えるわけですから、食後高血糖を避けるには食事の糖質を減らす必要があります。糖尿病の人が糖質の多い食事を摂ると食後血糖値が上がってしまいます。なぜなら、糖尿病によりインスリンの働きが少なくなっているからです。

糖質をたくさん食べれば血液の中のブドウ糖が増えます。これは糖尿病の人も健常者も同じです。普通の人であれば、血液中のブドウ糖が増えるとすぐにインスリンが大量に追加分泌されて、血糖値を正常に下げてくれます。

しかし、糖尿病の人の場合、インスリンが充分に追加分泌されなかったり、大量の追加分泌があっても肥満によってインスリン抵抗性が高くて作用が不充分だったりするため、血糖値が正常にまで下がらないのです。

ところが、食事の糖質が少なければ、食後にも血液の中にブドウ糖がさほど増えません。血糖値を下げるために必要となる追加分泌のインスリンの働きも少なくて済みます。そのため、インスリンの追加分泌が少なかったりインスリン抵抗性があったりして働きが弱い人でも、食後血糖値が大幅に上がらないわけです。

つまり、食事によるブドウ糖の血管内への流入があまり起こらないため、糖尿病の人でも食後血糖値が上がらないことになるわけです。糖質制限食が糖尿病の血糖コントロールに効果的なのです。

糖質制限食でダイエット効果も!

さらに、糖質を減らすことで減量効果も期待できます。インスリンは血糖値が高くなるとたくさん必要になります。糖質制限食ではあまり血糖値が上がりませんから、インスリンも少なくて済みます。インスリンは肥満につながるホルモンであり、糖質制限食でインスリンが少なくなると肥満しにくくなります。

糖尿病のまとめ

糖尿病は血糖値が高くなる病気である。
インスリンの働きが不充分だと血糖値が高くなる。
肥満するとインスリンの効き目が悪くなる。
血糖値が高くなると血管が傷害され合併症が起こりやすい。

糖尿病の食事療法のまとめ

カロリー制限食は、摂取カロリーの超過をなくすことで肥満を改善し、インスリンの効き目を良くする。

糖質制限食は、食後血糖値を上げないのでインスリンの必要量が少なく、血糖値を下げるとともに肥満改善の効果がある。

正しい糖質制限食を行うことで糖尿病治療だけでなくダイエットもしちゃいましょう。次は、カロリー制限食が苦手な人におすすめなゆるーい糖質制限食を紹介します。

次の記事

「ゆるい糖質制限食」

参考本

「糖質制限食のススメ(山田悟)」

参考リンク

「糖質制限ダイエットの基本」

    
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