カロリー制限食が続かない糖尿病患者に有効な「ゆるい糖質制限食」

糖尿病の治療食で最も重要なことは、長く続けられるかです。単に治療効果だけでいうならば、カロリー制限食は良い治療法です。ただし、続けることができるのなら、という条件が付きます。

長く続けられるかどうかに主眼を置いて、糖尿病の治療食は考えなければなりません。カロリー制限食をきちんと長く続けられる患者さんならば、それでいいでしょう。しかし、もし続けられないのならば、糖質制限食という選択肢もあります。今回は糖尿病の食事治療に効果的なゆるい「糖質制限食」を紹介します。


ゆるく考える糖質制限食

糖質制限をあまり厳しく考えてはいけません。なぜならば、料理に使われる食材のほとんどに糖質は含まれているからです。葉物野菜などにも微量の糖質は含まれ、調味料のほとんどにかなりの糖質があるので、美味しく調理ができなくなります。

簡単に、美味しく、たくさん食べるなら、糖質制限をある程度ゆるく考えるべきです。減らす基準をゆるくすれば、糖質制限は楽になります。少々の糖質を気にしないので計算が要らなくなります。ゆるい糖質制限食こそ、簡単でおいしく、たくさん食べられる、患者さんにとって最も続けやすい食事なのです。

ゆるい糖質制限食の基準

ゆるい糖質制限食の基準をこう考えています。一食の糖質量を40g以内にすることです。調味料に関してはあまり気にしなくてもよくなり、主食でさえある程度は食べることができます。1食の糖質量が40gもあると、食事の自由度が本当に高くなります。そのうえで、治療効果も期待できるのですから、患者さんにとっては理想的です。

少しだけ主食を食べられるメリット

糖質制限食のイメージで最も大きな特徴は「主食を食べられない食事」ということです。しかし、1食に40gまで糖質を摂ることができるならば、ある程度の「主食を食べられる」ことになります。1食でご飯を茶碗に半膳、トーストならば半切れ食べても、糖質量は40gを超えません。

つまり、「ゆるい糖質制限食は主食を食べられる糖質制限」となるのです。糖質制限食を続けるときに最大の障害になるのは、主食を食べられないことにあります。

日本の食事習慣は主食の存在を前提にしており、ご飯を食べながらおかずを食べるというスタイルです。全くご飯を食べられない食事を実行しようとすると、従来の食習慣を根本的に変えなければいけなくなります。そのため、主食を摂れない糖質制限食を始めると、どうしてもご飯やパンなどが食べたくなり、続かなくなるケースが増えてしまうのです。

ところが、少ない量でも、ご飯やパンなどを口にできるとなると、主食を食べながらおかずを食べるという食事スタイルを変える必要がなくなります。ご飯を控えめにしておかずを多めにした普通の食事が可能になるのです。

この程度の食習慣の変更ならば、少しの努力でできますし、次第に習慣化してあまり苦がなく続けられます。また、糖尿病の患者さんだけでなく、家族の負担も大きく減らせます。食事を用意する方にとっては、患者さんの分だけ別に作るのは負担です。糖質制限食を厳しく考えた場合、糖質量の多い食材は避けなければならず、患者さんと他の家族の分とを別々の料理にする必要も出てきます。

ところが、糖質制限の基準がゆるければ、患者さんの分だけ別に用意する必要がなくなります。同じように作っておいて、患者さんの分は糖質の多い食材を除けるだけで、1食糖質量40g以内というゆるい基準をクリアできるからです。

家族全員が基本的に同じものを食べることになりますから、毎日の食事での心理的な負担も減ります。患者さんにとっては、家族の他の人が食べているものに、自分だけ食べられないものがあると、食べたいという誘惑が起きます。

しかし、少量とはいえ同じものを口にできるわけですから、我慢も大した苦ではなくなります。また、他のご家族にとっても患者さんが食べてはいけないものを口にしないようにと注意する必要があまりなくなり、気が楽になるわけです。

このように、糖質制限の基準がゆるいと、食事のスタイルを基本的に変えないので、他の人と同じように食事を楽しめます。主食でさえ少量食べられる、ゆるい糖質制限食のメリットは、大きいのです。

ゆるい糖質制限のルール

1食の糖質量を40g以内にするというゆるい糖質制限食は、糖質制限食を考えたバーンスタイン先生の定義に合致しており、糖尿病の有効な治療食です。しかし、この基準だけでは不充分で、糖質量の下限の値についても基準が必要です。

1食の糖質量を20g以上にします。20gを超える糖質量ならば、実行するときに計算を厳しくする必要もなく、料理の美味しさも求めることができます。

さらに、もう一つ医学的な理由もあります。糖質量を厳しく減らすと、身体の中にケトン体という物質が増えます。糖尿病では重症化するとケトン体が異常に増えるケトアシドーシスという状態になることがあります。

現時点ではケトン体が増加しない程度の糖質制限食を行うほうが無難です。一食の糖質量が20g以上ならば、ケトン体の増加を心配する必要がなくなります。

おすすめすべき糖質制限食の基準は「1食の糖質量が20g以上、40g以下の食事」。これを守っていれば、毎日の食事を美味しく楽しく続けて、糖尿病の治療効果を得られるのです。

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参考本

「糖質制限食のススメ(山田悟)」

参考リンク

「糖質制限ダイエットの基本」

    
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