花粉症の治療方法! 対症療法と栄養療法

花粉症の治療は現在どのように行われているのでしょうか。花粉症の治療方法で一般的な対症療法と栄養療法について紹介します。


花粉症の治療方法

花粉症治療は、健康保険適応の治療から民間療法まであります。その中でも最も一般的なのは、「症状を薬で抑え込む」対症療法です。

対症療法1. 抗アレルギー剤の内服、点鼻、点眼

IgE抗体の働きでマスト細胞から出てくる、ヒスタミン、ロイコトリエンなどの炎症性ケミカルメディエーター(炎症を起こす化学伝達物質)が、ターゲット細胞のレセプター(受容体/スイッチのようなもの)に届くのを、先回りしてブロックすることで、鼻水や目のかゆみなどの症状を鎮めるのが、抗アレルギー剤です。

鼻の乾き、眠気などの副作用がありますが、副作用を軽減したものや、広く炎症性ケミカルメディエーターの分泌を阻害したり、レセプターをブロックするものが開発されており、現在の花粉症治療の主流です。

あくまで、症状を抑えるための対症療法であり、根本的な原因であるIgE抗体が産生されるプロセスまではブロックしません。また残念ながら、持続する鼻閉感などの重症化に関連する遅延相反応の部分を止めることもできません。

そのため、花粉症で起こるQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の低下を完全に抑止できないのが弱点です。

対症療法2. 鼻粘膜の焼灼

電気メスやCO2レーザーを使い、鼻の中の粘膜を焼いて、粘膜の面積を減らす治療です。鼻通りはとても良くなります。ただ、時間が経つと、鼻粘膜がある程度再生されるので、症状が再び起こる(再増悪がある)のが弱点です。

また、アレルギーが起こるプロセスをブロックするものではないので、施術後も大なり小なり、花粉症の症状は続きます。

さて、対症療法の次にご紹介するのは、栄養療法です。花粉症の一部は、栄養欠乏や栄養のアンバランスによって生体恒常性(ホメオスタシス)が傷害されて起こるといわれます。こうした花粉症に対しては、栄養療法はある一定の効果が期待できます。

栄養療法1. オメガ3系脂肪酸の摂取

花粉症の際、マスト細胞が分泌する炎症性ケミカルメディエーターは、その症状であるさまざまな炎症を引き起こします。これらは必須脂肪酸といって、ヒトが自分では合成できない、食物として外から摂取しなければならない脂質を原料にして作られます。

この炎症性ケミカルメディエーターの中には、リノール酸のようにオメガ6系脂肪酸と呼ばれる種類に属する、植物油に多い脂肪酸を使ったものと、エゴマ油や魚油に含まれるオメガ3系脂肪酸を使ったものがあります。

そして、オメガ3系脂肪酸由来の炎症性ケミカルメディエーターが引き起こす炎症の方が、オメガ6系由来の炎症性ケミカルメディエーターが引き起こすものより炎症の度合いが小さいことが確認されています。

しかし、現代人はオメガ6系脂肪酸を調理油などから過剰に摂取しており、オメガ3系脂肪酸が不足しています。これが炎症性疾患が増えている1つの原因です。

この療法は、炎症性ケミカルメディエーターを作る細胞は、その近くにある脂肪酸を使うという傾向があるので、オメガ3系脂肪酸を積極的に摂取することで、オメガ3系脂肪酸由来の炎症性ケミカルメディエーターを作りやすいようにして、炎症の軽減をしようというものです。なお、逆にオメガ6系優位の場合は、炎症性疾患(アテローム性動脈硬化症、喘息、関節炎、血栓症)や発がんが促進されることがわかっています。

ただ、このプロセスはかゆみ物質の主役であるヒスタミン生成には関係なく、ヒスタミンに遅れて生成、分泌される炎症性物質であるプロスタグランジン、ロイコトリエンに関係するので、その効果はなかなか体感しづらいかもしれません。

またオメガ3系脂肪酸優位にするためには、摂取を始めて2、3ヶ月を要することから、長い目で「抗炎症的な健康」を目指す方にはオススメですが、こと花粉症に関しては切れ味が悪い補助的なものになります。また、健康保険適応外の療法なので、自費での治療になるという問題もあります。

栄養療法2. シソエキスの摂取

シソに含まれる、ルテオリンというフラボノイドは、マスト細胞などが、生成する炎症性ケミカルメディエーターのロイコトリエンの生成を抑制します。そこでシソエキスを摂取して、炎症性ケミカルメディエーターの生成量を減らし、炎症を軽減しようというのがこの療法です。

なお、この治療も効果は限定的。またルテオリンが製剤化されていませんので、効果が不安定なドリンクやサプリメントを使った民間療法になります。

栄養療法3. ビタミンAの摂取

粘膜に抗原である花粉が侵入すると、まずIgA抗体が抗原の中和(無毒化)をはかります。つまり花粉の侵入に対応するIgA抗体が充分に粘膜面にあれば、花粉抗原がIgE抗体とくっつくチャンスが減り、IgE抗体がマスト細胞のスイッチを押して、炎症性ケミカルメディエーターが分泌され、炎症が起こる可能性を減らすことができます。

そしてIgA抗体が粘膜で産生される際に必要なのがビタミンAで、不足しがちなビタミンAを最適化してIgA抗体を増やそうというのがこの療法です。さらに近年、「免疫寛容」にもビタミンAが、大変重要な役割を果たしていることもわかっています。

なおビタミンAは、レバーや魚油などの限られた食材からしか摂取できません。ビタミンAという人間の身体が緑黄色野菜に含まれるβカロテンから容易に変換できる物質と思われています。

しかし実際は変換されにくく、必要充分量の摂取には、サプリメントやレバーから「ビタミンAそのもの」をきちんと摂取する必要があります。

舌下免疫療法(減感作療法)

この療法では、パンにしみ込ませたスギ花粉の抗原を含む液体を、舌の下に置き、口の粘膜からスギ花粉の抗原を身体の中に浸透させます。そしてその抗原量をだんだん増やしていき、その抗原に対しての免疫反応を起こりにくくします。別名「減感作療法(免疫寛容の誘導)」と呼ばれる治療です。

医師の世界では経験的に「経口免疫寛容」すなわち、口に入れるものには免疫反応が起こりにくい(消化管粘膜を経由して身体に入る抗原に対しては、免疫反応が起こりにくい)ことは、昔から知られていました。

そして、「免疫寛容」は生物の免疫系に元来備わっているメカニズムです。免疫細胞にこのメカニズムがないと、「自己と非自己」の区別がなくなってしまい、自己の細胞を攻撃し続けることになります。もしそうだったら、人は死んでしまいますし、妊婦さんも胎児を子宮内にとどめることができません。

しかしヒトの身体には、免疫細胞の学校に該当する組織(胸腺)があり、自己の細胞は抗原認識しない(自分の細胞は抗原として取り扱わない)教育を受けて合格した免疫細胞だけが、身体の中で活動することを許されています。

実はヒトの身体は、この「免疫寛容」を自己の細胞以外にも行っています。特に生体と外界との境界をなす粘膜面では、無害で共存すべき外来抗原が侵入してくることもしばしばあるので、それに対して、無益な炎症を起こさないために、「これには、免疫反応をあまりしないようにしよう」と判断し、学習するシステムがあるのです。この療法はこの「免疫寛容」のメカニズムを応用したもので、優れた成果を上げています。

このように花粉症の治療方法には様々な治療方法があります。市販の医薬品では花粉症状が改善されない場合は、病院で治療を受けるのも検討してみてはいかがでしょうか?

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