在宅緩和医が余命1ヶ月と言われたら受けたくない延命治療

在宅緩和医が、もし自分が患者だったら受けたくない治療について紹介します。また、余命一カ月なのか、半年なのか、その治療をすることでどれくらい延命効果があるのかによっても、受けたい治療は変わります。余命1ヶ月と言われたら受けたくない延命治療を紹介します。


尿管ステント

尿管や膀胱などに腫瘍ができ、腎臓で作られた尿を排出できなくなったときに、膀胱鏡を使って尿管に入れるチューブです。挿入後、チューブが詰まってしまうこともあるので、安全のため数カ月ごとにチューブの入れ替えが必要になります。体外に器具が出ないので日常生活にさほど不便はなく、数カ月単位に延命できるならば利用を検討します。

腎ろう

尿管ステントが入れられないときにすることが多く、背中から腎臓に直接チューブを入れて尿を排出します。チューブの先に尿を集める尿バッグをつなげるので、常にこの尿バッグを携帯しなければいけません。風呂にも入りにくく、仰向けに寝るのがつらい人もいます。延命できてもやりたくありません。

人工透析

腎臓の働きが悪くなったとき、人工的に血液をろ過して、血液中にたまった老廃物や余分な水分を取り除き、浄化された血液を体内に戻す治療です。腎臓がだめになったら生きてはいけないので生きるためには必要な治療であり、週に3回、4時間ほどかけて行います。緊急の透析は動脈と静脈に太いカテーテルを入れて行うのでかなりの苦痛があります。年単位に延命できるならば検討します。

胆道ステント

肝臓、胆管の腫瘍などで胆管が閉塞したとき、消化管内視鏡を使って胆管に挿入するチューブのことです。胆汁が流れなくなると便が白くなり、また胆汁が血液中に逆流すると黄疸となってしまうので、チューブを通して胆汁を排出します。身体への負担も少ないすばらしい治療です。数カ月単位に延命できるならば検討します。

PTCD(胆汁チューブ)

胆道ステント以前によく使われていた手法です。皮膚から直接胆管にチューブを入れて胆汁を体外に排出します。肝臓に皮膚からチューブを刺すので簡単にいくときもあれば、苦痛を伴うこともあります。胆汁が1日数百ミリリットルも流れ出るので、チューブの先にボトルをぶら下げます。風呂には入りにくいです。よほど長期の延命効果があっても受けません。

胃ろう

胃におなかから穴を開けて栄養を入れるチューブを造設することです。造設は簡単で、その後の苦痛は少ないです。チューブはふたができるので、おなかからチューブの先をぶら下げないですみます。急性疾患になり意識がある状態なら、とりあえずお願いするかもしれません。

胃管

胃の狭窄などでひどい嘔吐が出たとき、鼻から胃まで入れるチューブで、胃チューブとも言います。チューブを通して胃の内容物を外に出します。イレウス管よりつらくないが、それでも完全拒否の人も多いです。できればやりたくありませんが、余命一カ月でもよっぽど苦しかったらお願いするかもしれません。

胸腔カテーテル

胸腔内の空気や水を抜くためのチューブです。終末期では胸水を抜くために使われることが多いです。胸水を穿刺(針)で抜こうとする場合、1日100ミリリットル程度たまる人なら、数日に1回の割合で穿刺しなければいけません。

胸への穿刺は出血や肺に穴があいたりするリスクが高く、頻回の穿刺は避けたがる医師が多いです。このため胸腔カテーテルを入れ、持続的に胸水を抜こうとします。しかしそもそも無駄な点滴をしなければ胸水がそこまでたまることは少ないので、延命できてもやりたくありません。

人工肛門

手術で腸をおなかの外に出して人工的に作る便の排泄口です。がんによる腸閉塞の場合、腸ががんで閉塞している部位よりも口側の腸をおなかの外に出して作ります。これによって最大数年の延命ができますが、作っても、また別の部位が閉塞すれば役に立たないこともあります。

自分の意思とは関係なく排泄されるので、排泄口周辺の皮膚に便を受ける袋を装着しておかなければいけません。年単位に延命できるならば検討します。

「穏やかな死に医療はいらない(著:萬田緑平)」を読むと延命治療のリアルがわかります。延命治療はどこまで必要なのかを考える上でも参考になります。

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参考本

「穏やかな死に医療はいらない(萬田緑平)」

    
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