暗い気持ちになっていませんか?「負の精神状態」は痛みの最大の要因になります

ストレスを溜めると同じ痛みでもより大きな苦痛を感じます。負の精神状態は、私たちの体にどのような影響を与えるのでしょうか。今回は、心と痛みの関係についてご紹介いたします。


不安や抑うつが痛みを増大します

 痛みの感じ方にもっとも大きく影響を与えるのは、不安、イライラ、抑うつ(心が沈んだ状態)といった「負の精神状態」です。慢性的な痛みがあるとき、たとえ痛みが強くても、痛みの原因がはっきりわかったり、治療で少しでも痛みがとれたりすると、安心することができます。希望を持つことで、痛みが軽くなったりします。

不安な心や負の感情は、実際の痛みよりも痛さを強く感じさせます

反対に、痛みをとる方法がないと診断されたり、治療してもなかなか痛みが軽減しなかったりすると、憂うつな気分や絶望感を抱いてしまいます。そういった不安な心になると痛みを強く感じるようになってしまうのです。また、交通事故などのように誰かの過失でケガをしたときは、怒りや恨みの感情がわいてきます。こういった負の感情も、実際の痛みよりも痛さを強く感じさせる原因になります。

職場や家庭のストレスも重要なポイントです

「軽い肩こり」で、本来は治療すればさほど時間をかけずに痛みがとれていくはずなのに、なぜかなかなか痛みがとれず、それどころか痛みが増していってしまうというようなケースもあります。「会社や家庭で悩みはありませんか?」と聞いてみると、はじめは自分から積極的に話してくれなくても、話を聞いているうちに実は職場でのストレスが隠れていたというケースが見受けられます。

逃げ場のないストレスは心が沈んで痛みに敏感になる?

仕事で大きなストレスを感じていたとしても、家に帰って安らぐことができるのであれば、心の緊張は癒されるものです。ところが家庭にも問題がある場合は、心が癒される時間がないため、ストレスはどんどんたまってしまいます。心が沈んだ状態だと痛みに敏感になるので、同じ痛みでもより大きな苦痛を感じてしまうのです。

まわりの無理解も、痛みが増す原因のひとつです

痛みが慢性化すると、だんだん家族やまわりの人から配慮してもらえなくなったりします。「帯状疱疹後神経痛」は、そんな痛みのひとつです。これは、帯状疱疹が治ったあとに痛みだけが残ってしまった症状で、外からはすっかり治ったように見えるので、まわりの人に痛みをわかってもらうことが難しくなってしまいます。体に感じる痛みだけでもつらいのに、その痛みをまわりの人にわかってもらえないと心も傷ついてしまいます。

好きなことをしているときには痛みを忘れるということもあります

帯状疱疹後神経痛には好きなことをしているときには痛みを忘れるという特徴があって、趣味に熱中したり、おもしろいテレビに夢中になったりしているときには痛みを忘れてしまいます。そういうときは「痛い、痛い」といわなくなるので、まわりから、「仮病や、なまけ病では?」と疑われたり、「『痛い』と大げさに言いすぎている」と思われたりすることがあります。

安心感を得たり、癒されたりすると痛みを感じにくくなります

診察のとき、私から患者さんのご家族に「これは本当に痛いんですよ」と説明することもあります。その言葉で患者さん本人がちょっと安心して、痛みが少し軽くなるということがあります。痛みの強さは同じでも、不安やイライラした気持ちは痛みを感じやすくさせるので、実際の痛み以上の苦痛に苦しむことになります。逆に、安心感を得たり、癒されたりすると痛みを感じにくくなるため、痛みの苦痛は軽く感じるようになります。

まとめ

いかがでしたか?
痛みが慢性化すると、だんだん家族やまわりの人から配慮してもらえなくなったりします。心が沈んだ状態だと痛みに敏感になるので、同じ痛みでもより大きな苦痛を感じてしまいます。
今回は痛みと精神の密接なつながりをご紹介いたしました。
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参考書籍:河手眞理子著『「痛みの名医」が教える 体の痛みがスッキリ消える』(二見書房)

    
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