シンプルな人生相談の味わい

人生相談はその人の悩みの本質がわかります。はたからみれば、なぜこんなことで悩んでいるかと思っても、その人にとっては切実な問題です。さらに、こうした悩み相談は、それを向ける時点でその人の中で答えが見つかっている、あるいはほしい答えを求めているといったこともあるでしょう。そのため、人生相談の味わいは、回答者のユーモアやセンスにあるといえます。


シンプルな答え

末井昭による『末井昭のダイナマイト人生相談』(亜紀書房)は、サブカルチャー系の雑誌編集者として知られた末井昭による人生相談本です。そこに寄せられるものは「人の名前が覚えられない」といったシンプルなものから「結婚しているのに性風俗通いがやめられない」といった切実なものが多く寄せられています。タイトルにあるように、著者の母親は、幼少期に隣の家の青年と不倫関係に陥りダイナマイトで心中してしまいます。それは著者にとっては暗い記憶であったのですが、本にして世間に広めることで楽になったという経験があります。悩みもそういうものなのではないか、少なくとも人に打ち明けることによって少し楽になることはあるのではないか、そうした優しい視点、シンプルな視点から回答を試みています。なにより著者は、母親のダイナマイト心中にはじまり、3億円を超える借金を抱え、不倫、ガン闘病など多くの危機を乗り越えてきました。どん底を味わったからこそ、著者の言葉はとても優しく響いてくるのです。

    
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