「正しい枕」を選ぶために大切な4つの条件

枕の高さや硬さ、素材など選ぶポイントが多すぎて、自分に合った枕選びは難しくなっています。今回は、「正しい枕」を選ぶために大切な4つの条件を紹介します。


1. 体格にジャストフィットする高さ

まずは、マットや布団の上に静かに横たわって、首の角度が最良になる高さを決定しましょう。上向き、横向きの両方で試してみます。枕は、上向きに寝ても横向きに寝てもフィットする高さであることが大切だからです。

そのためには、上向きで寝たときの首の傾斜角と、横向きで寝たときの傾斜角を測り、双方の許容範囲がオーバーラップする高さを選びましょう。

上向きの場合の首の理想的な傾斜角は、床面(敷物面)に対して10度前後です。これは、頸椎にある頸神経の出口「椎間孔」がいちばん大きく開く角度です。出口が広がれば、そこを通る神経がゆるめられ、血液循環もよくなります。

低すぎる枕や高すぎる枕では椎間孔が狭くなるため、頸神経が締めつけられ、血液循環が悪くなります。

一方、横向きでは、下になるほうの肩を少し前に出し、身体の中心軸が床面と平行になるように合わせます。枕が高すぎたり低すぎたりすれば首が左右に傾くのでやはり椎間孔が狭くなり、肩や腕に向かう神経が圧迫されてしまいます。

もちろん、上向きと横向きでは理想の高さが違ってくる場合もあります。しかし、人間の身体は、どちらにもある程度の許容範囲があり、とくに上向きで寝たときの傾斜角度は比較的、許容範囲(5~15度)が大きいのです。したがって、両方の許容範囲がオーバーラップする高さを決めるのはむずかしくはありません。

高さに関して、最後に確認しておきたいのは、寝返りの打ちやすさです。静的寝姿勢における高さ調節で寝返りを打ってみれば、その枕がほんとうに適切かどうかがわかります。

多くの人は、枕が高すぎると骨盤を使って腰のほうから寝返りを打とうとします。「よっこらしょ」と持ち上げるような感じです。反対に、枕が低すぎるときには上半身、とくに肩から寝返りを打とうとします。どちらの場合にも、かなりの筋力が必要です。

ところが、ちょうどいい高さの枕で寝ているときには、右向き、左向き、どちらからでも抵抗なく寝返りを打つことができます。ほとんど何の力を入れることもなく、ころころと身体の向きを変えられるのです。

2. 頭が沈み込まない硬さ

枕の高さと密接な関係にあるのが、硬さです。軟らかい枕では頭が簡単に沈み込んでしまうからです。最初はふわっと沈む感触が気持ちよく思えるかもしれませんが、気持ちいいのは寝入るまでの数分間だけです。

睡眠中、ずっと理想の高さを保つことはできませんし、どんどん変形して寝返りが打ちにくくなることもあります。数字で示せる高さと違い、硬さを表現するのは簡単なことではありませんが、「頭が沈み込まない硬さ」が基準です。

しかし、硬い枕は万人向けとは言えません。枕に接する後頭部や顔の側面が不快に感じられるのであれば、硬すぎます。頭の重さを心地よく受けとめてくれる程度の柔軟性が必要です。

では、今利用している枕の硬さを調べてみましょう。朝、起き上がったときに、自分が使っていた枕を見てみると、頭ののっていた部分が大きくくぼんでいませんか? 詰め物のソバガラやプラスティックチップが端に寄って、いびつな形に変形してはいませんか?

いずれも、枕が軟らかすぎる証拠です。適度な硬さと弾力性をもった枕なら、頭の跡がくっきりと残ることはありません。

また、ドーナツ形の枕はやめましょう。ドーナツ形の枕では最初から変形した枕で寝ているのも同じこと。枕に穴など必要ありません。

また、十分な硬さを確保するためには、素材選びが重要です。羽毛、羊毛などの軟らかい素材よりは、ソバガラ、プラスティックチップなど硬めの素材を選ぶほうがいいでしょう。

ただし、詰め物が袋の中でじゃらじゃらと動いて、凹凸ができてしまうならドーナツ形と同じです。低反発ウレタンフォームはへたりが問題です。定期的なチェックと買い替えが必要です。

ふわふわの枕を使い慣れていた人がいきなり硬めの枕に替えると、後頭部が圧迫されるように感じることもあるでしょう。違和感がなくなるまでに1~2週間はかかるかもしれません。しかし、高さと硬さが適切であれば、じきに慣れるので安心してください。

もし、いつまでたっても違和感が消えないとすれば、それは柔軟性の問題ではなく、高さ調節がうまくいっていないからです。枕が低すぎる場合にも高すぎる場合にも後頭部が「硬い」という違和感が生じます。

3. 浮き沈みのない「フラット構造」

枕には、「適度な硬さ」と「平らな構造」が必要なので、平らで四角い枕がベストです。端から端まで、凹凸や彎曲はいりません。なぜ枕をフラットにする必要があるのでしょうか? それは、寝返りを打ちやすくするためです。

4. 一生モノではなく、適宜調整を

枕は、高価なものを購入しても一生使えるものではありません。体格や体型が少し変化すれば、適切な高さも少しずつ変わっていきます。

また、寝具や就寝時の衣類によっても、高さは微妙に違ってきます。だから、いつも快適な状態で眠りたいと思うなら、そのときどきの体格や睡眠環境に合わせて、つねに調整したり、交換したりすることが必要です。では、体格や体型の変化にともなう調整はどうすればよいのでしょうか?

4-1. 大人の枕調整法

大人の場合は、体重変化を考えましょう。肉づきが変われば、上向きの場合の背中の厚み、横向きの場合の肩から腕にかけての厚みも変わるため、枕の高さは変えなければなりません。ただし、妊婦さんは例外です。体重増加は同じ5キロでも、下腹部から腰の変化が大きいだけで、上半身や腕回りの変化は案外、小さいためです。

4-2. 子供の枕調整法

一方、子どもの場合は、身長と体重の両方に変化が生じますので、こまめな調整が必要です。身長の伸びこそは、骨格の成長変化だからです。身長がぐんと伸びる成長期には、肩幅を形成する左右の鎖骨も、腕の骨も、どんどん大きくなります。つまり、横向きで寝る場合の適切な枕の高さも変わっていくのです。

子どもの場合は、大人と比べて頸椎の神経が柔軟性に富んでいます。本来なら、寝姿勢が少し悪いくらいで首や肩が痛むこともありませんし、体調不良にもなりません。しかし最近では、ゲームのやりすぎや運動不足などが原因で、小学校高学年から肩こりのある子どもたちをよく見かけます。そのようなケースでは、大人と同じように、寝具が不適切だと朝の寝違えや首の痛みが出現しますので、枕の調整は必要です。

4-3. 睡眠環境の変化による枕調整法

次に、睡眠環境の変化にともなう枕の調整について紹介します。敷物の変化としては、ベッドを新調してマットの硬さが変わった、逆に長年使用している布団が徐々に沈み込みを起こした、畳に布団敷きからベッドに替えた、冬になって温かい羽毛パッドを追加敷きすることにした、などというときは要注意です。

軟らかい敷物では、身体が大きく沈み込むのに比べて頭部の沈み込みが小さいので、相対的に枕が高く感じます。反対に敷物がそれまでより硬くなれば、身体の沈み込みが小さくなるので、枕が低く感じます。どちらも身体に影響が出ない程度ならかまいませんが、首や腰に違和感があるようなら枕を見直すほうがいいでしょう。

オーダーメイドやセミオーダーで購入した枕を自宅に持ち帰ったときも、使用感を確認する必要があります。フィッティングをおこなったときの敷物と、自宅で使っている敷物とで、硬さや感触が違う場合があるからです。

最後に、パジャマや寝巻きにも注意しましょう。冬場になると、寒いからといってパジャマの上に厚手のセーターやフードつきのトレーナーを着たまま寝てしまう方がいます。なかには、防寒用のハイネック型羽毛ベストを着込んで寝る方までいます。

セーターやベストを着て寝れば、たしかに寒くはないでしょう。しかし、首回りにはかなりの圧迫となります。また、太ったときと同じように上半身の厚みが増すので、相対的に枕が低くなってしまうことがあります。

こうした変化のほか、交通事故などでむち打ち症になったときや、加齢で腰が曲がり始めたときにも、やはり枕の高さを調整することは必要です。

まとめ

正しい枕選びの絶対条件は、高さ、硬さ、フラット構造、調整が大切です。これらの条件を満たしたうえで、リラクゼーション効果や抗菌・消臭効果などのプラスアルファの効果をもつ枕を選ぶようにしましょう。

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参考本

「頭痛・肩こり・腰痛・うつが治る「枕革命」(山田朱織)」

    
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