レム睡眠とノンレム睡眠による睡眠周期の仕組み。90分単位で起きると目覚めがいい理由

睡眠の仕組みを理解するには、レム睡眠とノンレム睡眠による睡眠周期の理解が必要です。睡眠周期を理解すると、なぜ90分単位で起きると目覚めがいいのかがわかります。


2種類の睡眠

ヒトの睡眠は2つの睡眠「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」から構成されています。レム睡眠が脳を活性化させる眠り、ノンレム睡眠は脳を休息させる眠りです。

レム睡眠とノンレム睡眠は交互に現れます。寝入ったばかりのときはノンレム睡眠です。眠ってから90分ほどするとレム睡眠が現れます。レム睡眠は約90分間隔で規則的に現れ、明け方になるにつれて出現時間は長くなります。結果的にレム睡眠は睡眠全体の約20%、ノンレム睡眠は約80%を占めています。

レム睡眠

レム睡眠のレム(REM)とは、英文の「Rapid Eye Movement」の頭文字を並べたもので、「Rapid」は「急速」、「Eye」は「目」、「Movement」は「運動」の意味です。眠っているのに目が左右にきょろきょろと動くことに由来しています。

眼球が動いているのは、脳の一部が活動している証拠です。脳に入る情報の80%ほどは目からの視覚的な情報だといわれますが、それほど脳と目は密接に関係しているので、脳が活動すると眼球も動くのです。

レム睡眠は、1953年、シカゴ大学のナサニエル・クライトマンとユージン・アゼリンスキーによって発見されました。当時大学院生だったアゼリンスキーは、生まれたばかりの自分の息子の眠りを観察していて、レム睡眠の存在を発見したのです。レム睡眠の発見により、レム睡眠以外の眠りをノンレム睡眠と呼ぶようになりました。

先に見つかっていたのは「レム睡眠」の方で、あとから見つかった「ノンレム睡眠」は、「レム睡眠ではない睡眠」という意味から「ノンレム睡眠」と名付けられています。その後の睡眠科学の発展により、この2種類の眠りは、単純に「眼球が動いているか、動いていないか」の違いにとどまることなく、極めて対照的な働きを持っていることがわかりました。ノンレム睡眠については後で説明します。

ごく浅い眠りのレム睡眠では、脳の記憶や学習の強化が行われます。記憶の整理をする過程で夢をみると言われています。夢は情報を処理するプロセスだからです。レム睡眠は、進化的には古い眠りです。「じっと動かなくなる」のがレム睡眠の原型で、身体は休んでいますが、脳は部分的に活動しています。動物や昆虫が餌を探すとき以外じっとているのと同じです。それではレム睡眠の特徴をみていきましょう。

レム睡眠の特徴

体の休息
情報の整理
記憶の強化
浅い眠り
睡眠全体の20%
加齢とともにレム睡眠の割合は減る(新生児は50%)
脳が活発
眼球が動く
筋肉の緊張がなくなる
夢をみる
金縛り・夢遊病が起きる
目が覚めやすい

体の休息と記憶の強化にレム睡眠は大切です。また、レム睡眠は、夢をみるのが大きな特徴です。次に、ノンレム睡眠についてみていきましょう。

ノンレム睡眠

ノンレム睡眠は睡眠の80%を占めます。ノンレム睡眠は、脳を休ませる睡眠です。また、ノンレム睡眠には眠りの深さによって4つの段階があります。レム睡眠と浅いノンレム睡眠は、覚醒状態に近く、目覚めやすい状態です。夜中にトイレに起きたら、それはレム睡眠か浅いノンレム睡眠のときです。では、ノンレム睡眠の特徴をみていきましょう。

ノンレム睡眠の特徴

脳の休息
免疫力強化
成長ホルモン分泌
深い睡眠
4つの睡眠段階がある
睡眠全体の80%
加齢とともにノンレム睡眠の割合が増える
脳の活動が低下
血圧を下げる
徐波睡眠(第3、4段階)時に成長ホルモンが分泌される
最初の深い徐波睡眠に成長ホルモンが最も多く分泌される
睡眠から3時間に最も深いノンレム睡眠がくる
筋肉の緊張がある
目が覚めにくい
居眠りはノンレム睡眠

深いノンレム睡眠に入ると成長ホルモンが分泌されるため、身長を伸ばしたい人、アンチエイジングや美肌効果がほしい人は、深いノンレム睡眠を取れるように質の高い睡眠を取りましょう。

また、昼寝や仮眠で頭がすっきりするのは浅いノンレム睡眠でも脳を休ませる働きがあるからです。一方、深いノンレム睡眠の段階で目が覚めると、眠気が取れず二度寝しがちです。ノンレム睡眠のタイミングを計算して眠ることが大切です。

睡眠段階

ノンレム睡眠には、4つの睡眠段階があります。人の睡眠は「レム睡眠+ノンレム睡眠」による周期があり、レム睡眠も含めると5つの睡眠段階に分類することができます。

第1段階(睡眠開始)

浅い眠りの段階が第1段階です。呼びかければ起きる状態です。眠りに入るにつれて脳の活動が低下し、まどろみの状態を示すシータ波という脳波が出ています。

第2段階(軽い睡眠)

軽い睡眠の段階が第2段階です。睡眠段階の中では出現量が最も多く、心臓の鼓動はゆっくりになり、体温が低下します。第2段階で、身体は熟睡する準備に入ります。睡眠紡錘波という脳波が出るのも特徴です。

第3段階(深い睡眠、徐波睡眠)

深い睡眠の段階が第3段階です。呼びかけても起きにくいです。睡眠中前半に多く出現します。睡眠段階4との違いは脳波で、デルタ波の出現率が20~50%の場合を、第3段階と定義しています。

第4段階(深い睡眠、徐波睡眠)

ノンレム睡眠で最も深い睡眠の段階が第4段階です。睡眠段階3との違いは脳波で、デルタ波の出現率が50%以上出現する場合を、第4段階と定義しています。

寝入ってから30~60分くらいすると、いちばん深い深度3と4の睡眠段階に入ります。第3段階と第4段階は、熟睡している段階です。第4段階の方が、より深い睡眠に入っています。この2つの段階では体の修復作業を行っています。体温の低下や呼吸、心拍数の減少も見られます。徐波睡眠のときに、脳下垂体から成長ホルモンが分泌されます。深い睡眠をとるのが大切なのは、徐波睡眠にならないと成長ホルモンが分泌されないからです。

第5段階(レム段階)

覚醒状態に近い状態が第5段階(レム段階)です。段階部分としてノンレム睡眠の第1段階部分とかぶります。第5段階(レム段階)の特徴は、夢を見ることです。それ以外にも、急速な眼球運動、筋肉活動ができない血圧や心拍数の上昇もみられます。最初のレム段階は睡眠に入ってから約90分でやってきます。脳波は、覚醒状態・第1段階に近いパターンを示します。ちなみに、朝起きるときにレム睡眠の状態の時に起きると気持よく目覚めることができます。

睡眠の周期

繰り返される睡眠の5段階には周期があります。画像を見てみましょう。

このようにノンレム睡眠が、第1段階→第2段階→第3段階→第4段階→第3段階→第2段階→第1段階→第2段階→第3段階→第4段階…のように繰り返されます。レム睡眠は、第2段階(ノンレム睡眠)→第1段階(レム睡眠)→第2段階(ノンレム睡眠)のように、ノンレム睡眠の後に起こります。

第2周期以降はノンレム睡眠の深度が浅くなり、睡眠段階2~3がメインとなり、睡眠段階4の眠りはあまり現れなくなります。その一方で、レム睡眠の時間が長くなり、全体的に眠りが段階的に浅くなり、体が起きる準備をします。

ロングスリーパーやショートスリーパーなど睡眠タイプの違いによっても、第1段階、第4段階にいかないケースもあります。4〜5回ほどこの周期が繰り返されます。この睡眠周期が5回繰り返されて、最後のレム睡眠状態のときに睡眠が完了するのが、理想的な睡眠です。

徐波睡眠時(第3、4段階)に成長ホルモンが分泌される

成長ホルモンは、起きているときも眠っているときも数回ずつ分泌されていますが、眠り始めの徐波睡眠時の分泌量が最大です。骨や筋肉など身体をつくっている基本的な素材はタンパク質です。成長ホルモンは、タンパク質の合成をサポートして骨や筋肉などの成長を助けるので、子どもの成長期には、特に徐波睡眠が大切です。

また、成長ホルモンは、大人に重要で、組織や細胞の新陳代謝を促すアンチエイジングや美肌の効果もあります。それ以外にも、脳で情報をやり取りしている神経細胞のシナプスの機能を回復させる作業も成長ホルモンの助けを借りながら徐波睡眠で行われています。

成長ホルモン以外にも、徐波睡眠のときには脳を修復する物質が分泌されます。その代表格が「グルタチオン」です。グルタチオンは3つのアミノ酸からなるタンパク質の一種です。細胞内に高濃度で含まれており、危険な活性酸素による酸化の害を防いだり、毒物を抱合して肝臓に運んで解毒したりする作用があります。

睡眠の周期は90分単位

「睡眠のサイクルは90分だから3時間、6時間と90分単位で眠ると効率的な睡眠が取れて、気持ちよく目覚めることができる」

とよく言われますよね。これは、睡眠周期が約90分間単位だからです。一般的に、90単位でノンレム睡眠とレム睡眠の組み合わせが終わります。そのため、「90分単位で起きる」と、ちょうどレム睡眠が終わって浅いノンレム睡眠の段階で起きることができ、すっきりと目覚めることができます。

レム睡眠とノンレム睡眠による睡眠周期を理解することが質の高い睡眠をとるポイントです! 睡眠周期は90分単位で、レム睡眠が終わったタイミングで起きると目覚めやすいとおぼえておきましょう!

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