認知行動療法による睡眠障害治療。認知行動療法の長所と短所

不眠症などの睡眠障害の治療は、睡眠薬による治療や習慣改善により治療を行います。最近では、認知行動療法による睡眠障害の治療も増えてきています。


認知行動療法とは何か

認知行動療法は、「習慣をいかに直すか」に重きをおいています。「習慣」とは、生活習慣だけでなく、日常のふるまい方や考え方の習慣まで含みます。

例えば、「今日は眠れないかもしれない」と考えることが習慣化して頭が覚醒してしまうという場合もあれば、「なかなか眠れないから」と無意識に時計を見て焦りが出てしまい、頭や身体が覚醒してしまう場合もあります。

そのように身についてしまったクセのようなものを、一から見直して、よく眠れるような習慣を新たに身につけるのが認知行動療法の基本的な方法です。

認知行動療法の治療の基本パターン

認知行動療法では、睡眠に関する思考や行動のパターンを見直して、自分がめざす状態になるようにパターンを変えていくという方法をとります。具体的には、

1. 自分の状態に気づき
2. 気づいた後に今までと違うパターンを試してみて
3. よいパターンを身につける

という3つの段階で進めていきます。まず最初に、「眠れない」という症状に対して、「具体的に、どのぐらい眠れていないのか」「眠れない症状と関係がありそうなふるまい方や、考え方はないか」をチェックします。

そして、日常生活の習慣や考え方などのパターンとは違う方向で、何かよいものがないかを探っていき、よいものは何回も繰り返して、それを新しい習慣にしていきます。

認知行動療法の長所

認知行動療法の長所として、「副作用がない」「薬とほぼ同等の効果がある」ということです。また、寝つくまでの習慣を変えて、覚醒状態に結びつくようなクセを直していくので、入眠障害や中途覚醒時間の長い人にも効果があります。

また、不眠症の症状が長く続いている人の場合、眠れないと感じていることが、ゆううつな気分の悪化を招いてしまっている場合も多いので、認知行動療法によって睡眠習慣を整えることで改善される傾向もあります。

認知行動療法の短所

認知行動療法は短期的に効果が現れにくく、ある程度の期間にわたって継続する必要があります。習慣を変えるということは、かなりの労力が必要です。さらに新しい習慣として身につくまでそれを続けるというのは、なかなか辛いところがあります。試してみた新しい習慣も、目に見えて効果があるもの、今ひとつ効果が定かではないけれども、やめると元の状態に戻ってしまうものなどがあります。

認知行動療法は、あくまでも本人の生活の中でクセになるまでやっていかないと効果は得られないので、誰かに治してほしいという他力本願のスタンスで効果を期待することは難しいでしょう。

なかなか時間がとりづらく、定期的にクリニックには通えないという理由で、認知行動療法をあきらめようと思う方もいるかもしれません。確かにセラピスト(治療者)のもとで行えば、改善されているかどうかを客観的に見てもらえたり、精神的な面でサポートを受けられるというメリットはありますが、本などを見ながら自分で行うのでも、認知行動療法自体の効果は認められています。

不眠になるとすぐに得られる結果ばかりを求めてしまうようになり、すぐに結果が出なくて「辛いからやめてしまおう」となりがちですが、認知行動療法では、1週間、2週間の単位で効果を評価しながら、長期的な結果を得ることをめざしていきます。

認知行動療法に向いている人

睡眠薬を適性使用の範囲でコントロールできていれば、認知行動療法は必要ないでしょう。ただし不眠が再発しやすく、その度に薬の量が増えてしまっていたり、長期間にわたって睡眠薬をのみ続けているという人には、認知行動療法をお勧めします。

睡眠薬自体は治療に必要ですが、長期間にわたって使い続けているという人が多いということです。そのため、症状がよくなったら薬を減らすという治療計画を立てることが重要になるでしょう。睡眠薬を減らすためのオプションとして、認知行動療法は非常に有効な手立ての一つと言えます。

不眠症に対する認知行動療法の進め方

まず、自分の睡眠について理解します。次に、日常生活やふるまい方、考え方などの習慣で睡眠に対してよくない要因をどう変えていくかを考え、実際に行動に移してみます。その結果を評価して、よかったか、悪かったかを判断し、その方法を続けるか、別の方法に変えるかを決めていきます。

クリニックで行う場合は、セラピストと一緒に6回のセッションを行って、後は自分で続けていきます。セラピストは、問題の見方、考え方、実践法などを共有して、何を改善していくかを一緒に考え、サポートします。スポーツで言うと、トレーナーやコーチに近い役割です。

ゴールとしてどこをめざすのかは、セラピストが決めるのではなく、本人の希望や満足感が基準となります。睡眠時間自体が問題ではなく、それを本人がどう評価するかというところがポイントになってきます。

本人が何を望むかということで、カウンセリングでもその都度、目標を設定しなおしていきます。いつも2時間かかっている人が、30分で眠れるようになりたいと望むのであれば、まずは60分で眠れる日を週3日は作れるように目標を設定して、さらに「もうちょっと短い時間で眠れるようにしたい」というのであれば、少しずつ設定時間を短くしながら、満足感を確認していくという方法で進めていきます。

睡眠薬による睡眠障害の治療がうまく行っていない人は、認知行動療法による睡眠治療を検討してみてはいかがでしょうか?

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参考本

「認知行動療法で改善する不眠症」

    
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