若者に多い睡眠障害! 睡眠相後退症候群の原因と治療方法

眠ろうと思ってもなかなか眠れない
朝が起きられない

といった睡眠の悩みがある若者が多いですよね。これは、睡眠相後退症候群という睡眠障害が原因で起きています。それでは、睡眠相後退症候群の原因と治療方法について紹介します。


睡眠相後退症候群

睡眠相後退症候群は、20~30代の若い世代に多いのが特徴です。英語の「Delayed Sleep Phase Syndrome」の頭文字を並べて、「DSPS」と略されることも多いです。睡眠障害全体の5~10%が、この睡眠相後退症候群に当たると考えられています。

睡眠相後退症候群になると、眠ろうと思っても夜なかなか眠れず、朝起きられないという典型的な症状が現れます。ヒトは「夜寝て、昼間動く」のが基本の「昼行性動物」です。学校も職場も、この当たり前のリズムに従って動いています。でも、睡眠相後退症候群になると極端な夜型になってしまうたえ、社会的な適応が難しくなります。

睡眠相後退症候群の原因は大学時代の生活習慣

睡眠相後退症候群の原因の1つは、大学時代の生活習慣にあります。日本人の多くは、高校生までは規則正しい生活を送っています。朝早く起きて8時くらいには学校に行き、授業を受け、放課後は部活などで身体を動かします。帰宅後は宿題と受験に備えた勉強を遅くまでこなし、夜になったら疲れて眠るというのが標準的なパターンです。

高校までは、学校が組んだスケジュールに従って生活パターンが決まっていますが、大学に入ると自分の判断で比較的自由な生活が送れるようになります。そうすると、これまでの憂さを晴らすかのように夜更かしをして、お昼近くまで寝ている生活に陥る人が増えてきます。

このように昼夜逆転したような生活を4年近くも続けて、社会人になったからといって、朝9時生活には、すぐに適応できません。これが睡眠相後退症候群の背景にあります。

睡眠相後退症候群を引き起こす体内時計のズレ

睡眠相後退症候群を引き起こすのは、脳のなかの「体内時計」のズレです。体内時計とは、脳にある視交叉上核という神経細胞の固まりで、「夜寝て、昼間動く」という昼行性動物の生活リズムをコントロールしています。

体内時計は真っ暗な場所では、1日およそ25時間のリズムを刻んでいます。毎朝、起きて太陽の光を浴びると、光の刺激によって体内時計は24時間にリセットされます。体内時計本来の「25時間周期」を1日24時間にほぼ等しいリズムという意味で、「概日リズム(サーカディアンリズム)」といいます。そして、睡眠相後退症候群のように体内時計のズレによって起こる睡眠障害を総称して、「概日リズム睡眠障害」といいます。

朝日を浴びないと体内時計が1時間ずれていく

日の出に起きて朝日を浴びないと、体内時計が1時間ズレます。これを12日間続けるだけで、体内時計は12時間ずれて完全に昼夜が逆転します。また、不規則な生活を続けていると、体内時計のリズムが毎日変わるので、心身のコンディションが整わなくなります。

短期的な概日リズム睡眠障害でもっとも有名なのが、海外旅行で起こる「時差ボケ」です。日本と大きな時差のある外国へ飛行機で短時間で移動すると、体内時計が刻む時間と周囲の環境にズレが生じます。

たとえば、体内時計では夜のはずなのに、現地が朝だと、そこで体内時計がリセットされてしまい、24時間周期のリズムが崩れます。すると、頭がぼうっとして記憶力と集中力が鈍り、スーパーで買い物しようとしても簡単なおつりの計算を間違ったりします。また、疲労感が抜けないので、身体が思い通りに動かなくなります。睡眠相後退症候群は、この時差ボケがずっと続いているようなものなのです。

参考リンク

「時差ぼけ」

体内時計がズレると自律神経にも悪影響

体内時計のズレは、心身の不調に直結します。なぜなら、体内時計は自律神経の切り替えをコントロールしているからです。心拍、血圧、血液循環、体温調節、呼吸、消化吸収など、生きていくのに必要な身体の機能は、なかば自動的に制御されています。

それらをつかさどっているのが「自律神経」です。眠っている間に呼吸が止まらないのも、食事をすると栄養素を手際良く消化吸収して体内に取り入れるのも、無意識のうちに自律神経が働いているからです。

自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」からなり、脳の視床下部にあるセンサーによってコントロールされています。私たちの体内の臓器や組織は、交感神経と副交感神経によって2重に支配されていて、交感神経と副交感神経は互いに正反対の働きがあります。

交感神経は、心身を活動的にする作用があります。心拍数、呼吸数を増やし、血圧、体温を高めるのです。さらに、肝臓や脂肪細胞に蓄えた栄養素の分解を促して、脳や筋肉などに活動エネルギーを提供します。

対照的に副交感神経は心身を休めてリラックスさせる作用があります。心拍数、呼吸数を抑え、血圧、体温を下げて休息しやすい環境を整えます。同時に、消化吸収を促し、栄養素を肝臓や脂肪細胞に蓄える作用もあります。

日中は体内時計によって交感神経が優位になるように調整されており、副交感神経の働きは抑えられています。これが夜になると、副交感神経が優位になり、交感神経の働きはセーブされます。

ところが、体内時計がズレて日中に副交感神経が優位になると、体温が上がらず、活動エネルギーもスムーズに提供されないので、アクティブに動けなくなります。いくらやる気を出そうとしても、脳もエネルギー不足では働きが落ちますから、集中力も低下します。それでは創造的な思考ができないので、新しいアイデアが生まれる余地もなくなります。これでは、足で稼ぐ営業職も、アイデア勝負の企画職も、満足に仕事がこなせなくなります。

また、夜になっても、通常とは逆に交感神経が優位になると、心身は興奮状態になり、寝つきが悪くなります。睡眠で休養が取れないので、翌日の活動量はさらにダウンします。翌日の仕事力がまた下がるという悪循環に陥ります。

睡眠相後退症候群の治療方法

睡眠相後退症候群を治すには、太陽の光を浴びるようにします。朝起きられない場合は、朝早くから寝室に太陽の光が入るようにしましょう。夕方以降は、強い光を浴びることは避ます。テレビ、パソコン、携帯を見る時間を減らします。強い光を浴びると眠気が覚めてしまうからです。

また、遮光カーテンは、概日リズム睡眠障害の原因となります。朝はなるべく太陽の光が入る睡眠環境を作ります。徐々に部屋が明るくなると、脳は目覚める準備をするからです。光がさえぎられていると、自然な目覚めが難しく、急に明るくなっても、脳はまだ眠りから覚めきらないため、眠気が残りやすくなります。

それ以外にも夜型の睡眠パターンになっていることが大きな原因です。また、週末は明け方近くまで起きていて、昼過ぎまで眠ることも大きな原因です。休日でも、同じリズムで生活することが大切です。睡眠相後退症候群にならないためにも、休日にたくさん眠りたくても、いつも眠る時間より2時間早く眠るようにし、起きる時間を一定にしましょう。

睡眠相後退症候群を治すには、太陽の光を浴びる時間が大切です。体内時計を正常に戻すようにしましょう!

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参考リンク

「体内時計」

参考本

「眠れない人がぐっすり眠れる本(鴨下一郎)」

    
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