自分では気づきにくい危険な睡眠障害「睡眠時無呼吸症候群」の原因と治療方法

自分では気づくにくく危険な睡眠障害が「睡眠時無呼吸症候群」です。居眠り運転の原因にもなり、国土交通省が注意をよびかけているほどです。それでは、「睡眠時無呼吸症候群」の原因と治療方法について紹介します。


睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群は、眠っているときに呼吸が止まった状態が断続的に繰り返される病気で、英語の「Sleep Apnea Syndrome」の頭文字を取り、SASと略されます。睡眠時無呼吸症候群の定義は、10秒以上続く無呼吸あるいは酸素欠乏をともなう低呼吸が睡眠1時間に5回以上起こり、睡眠や日中の活動に支障をきたす睡眠障害です。日本人には約200万人の睡眠時無呼吸症候群患者がいると推定されており、若年層よりも中年層、女性よりも男性に多いとされています。

睡眠時無呼吸症候群は、居眠り運転の原因として注目を集めており、国土交通省でも注意を呼びかけています。重度の睡眠時無呼吸症候群患者が居眠り事故を起こす危険度は、睡眠時無呼吸症候群患者ではない人の3倍とも言われています。

自分では気づかない

無呼吸による睡眠障害は、睡眠障害の中でも数が多く、本人も気づかないうちに重度の寝不足状態となります。昼間の強い眠気、疲れなど突然死の原因にもなります。主に、

閉塞性睡眠時無呼吸症候群
中枢性睡眠時無呼吸症候群
閉塞と中枢の混合タイプ

があります。

1. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群

閉塞性睡眠時無呼吸症候群が、多くの人に知られている睡眠時無呼吸症候群です。肥満の人に多く、10秒以上の無呼吸状態が何度も起こるのが特徴です。心臓疾患や高血圧などのリスクも高まります。トラックの運転手に多く、居眠り運転による事故率が高くなります。

2. 中枢性睡眠時無呼吸症候群

中枢性睡眠時無呼吸症候群は、脳の呼吸中枢の活動が低下するために無呼吸が起こります。気道の閉塞がないため、閉塞性に比べて、いびきはそれほど強くはありません。中枢性睡眠時無呼吸症候群の治療は、脳血管障害・重症心不全などによる呼吸中枢の原因を取り除くことが必要です。

それでは、睡眠時無呼吸症候群で一番怖い「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」についてみていきましょう。

居眠り事故の原因にもなる睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群を有名にしたのは、2003年に山陽新幹線で発生した「ひかり」の列車緊急停止事故でした。運転士が運転中に約8分間居眠りをしてしまい、自動列車停止装置が作動して岡山駅の停止位置の100m手前で停止したという事故です。その間、新幹線は時速270kmで走り続けたのです。その後、運転士が重度の睡眠時無呼吸症候群であることがわかり、大きなニュースになりました。

自覚症状に気づくにくいのが睡眠時無呼吸症候群の特徴

睡眠時無呼吸症候群の特徴は、本人に眠気以外の自覚症状に気づくにくい点です。居眠り事故の運転士も調べに対して、「前日は8時間以上の睡眠を取っていた」と答えたそうです。

睡眠時無呼吸症候群は、眠気以外の自覚症状が少なく、無呼吸状態は眠っている間に起こるとため、病気ということに気づくにくくなります。睡眠中の病気のため、自分ではなかなか気づくことができず家族や職場の人間に指摘されて初めて気づくことが多い睡眠障害なのです。

睡眠時無呼吸症候群のサインは「いびき」

睡眠時無呼吸症候群のサインとなるのは、「いびき」です。普通のいびきは、仰向けに寝たときに、気道の筋肉が緩み、重みで舌が垂れ下がり、気道が圧迫され生じます。細くなった気道の管を空気が出入りする際に鳴る音が「いびき」です。

疲れたときにかくいびきは、特に健康に問題がない「単純性いびき」です。しかし、睡眠時無呼吸症候群のいびきは、気道が完全にふさがり、いびきが止まると同時に呼吸もストップする危険ないびきなのです。

呼吸が止まり、体内の酸素濃度が下がると、脳が危険を探知して覚醒信号を出し、慌てて呼吸をします。再開される呼吸は、激しい呼吸となります。

「ひどいいびき→呼吸の停止→呼吸の再開」

を何度も繰り返します。睡眠時無呼吸症候群の患者は眠っているため、この呼吸に気づかない場合がほとんどです。ぐっすり眠っているつもりでも、呼吸が止まるたびに起きているため、睡眠不足になっていきます。

日中の眠気
起きたときに喉が渇く
疲れが取れない
眠って気がしない

などの自覚症状がある人もいますが、周囲からいびきを指摘されたら、睡眠治療が行える病院で治療を受けましょう。

睡眠時無呼吸症候群の問題点

睡眠時無呼吸症候群になると、他の病気になる確率が大きく上がります。睡眠時無呼吸症候群の人は、健康な人より高血圧のリスクは2倍、心臓疾患のリスクは3倍に、そして脳血管障害のリスクが4倍になります。生活習慣病のリスクも上がる恐ろしい睡眠障害なのです。

睡眠時無呼吸症候群の原因1「肥満」

睡眠時無呼吸症候群の一番の原因は肥満です。太ると気道のまわりにも脂肪がたまり、気道がふさがりやすくなります。約35%の睡眠時無呼吸症候群の原因が肥満です肥満が原因で睡眠時無呼吸症候群になっている場合は、ダイエットをしましょう。適正体重になれば、気道がふさがることもなくなり、無呼吸も解消されていきます。

睡眠時無呼吸症候群の原因2「顔の形」

睡眠時無呼吸症候群が起こりやすい顔があります。小顔の場合、睡眠時無呼吸症候群が起こりやすくなります。彫りの深い、骨格がしっかりとした顔立ちではなくて、平面的で細長い顔立ちの方が、睡眠時無呼吸症候群が起こりやすいと考えられています。あごが小さい、下あごが後退していると、気道が狭くなってしまうからです。

欧米人の顔立ちは、前後に厚い顔に対して、日本人の顔は前後に薄く細長い顔です。睡眠時無呼吸症候群の有病率に差がないのは顔の違いです。睡眠時無呼吸症候群の約35%が、顔の骨格や顔立ちが原因となっています。

弥生顔は要注意

同じ日本人でも、北海道、沖縄県、鹿児島県には、睡眠時無呼吸症候群の人が少ないと言われています。日本人の顔立ちも、と2つのタイプに分類されます。彫りが深く、しっかりした骨格の顔立ちは「縄文顔」、顎が小さく、細長い顔立ちは「弥生顔」です。

北海道や沖縄県、鹿児島県には、「縄文顔」の人が多いです。睡眠時無呼吸症候群の専門家は、顔立ちの分類に「顔面軸」という数値を用います。あごのラインと、目と耳をつないだラインの交差する部分の角度を表す数値です。

数値を測ってみると欧米人の平均は90度、日本人の平均は86度、睡眠時無呼吸症候群の人の平均は79度でした。この角度が小さいということは、あごが細く長い顔であることを示します。専門医は、顔立ちを見ただけで、睡眠時無呼吸症候群を予測できるのです。

睡眠時無呼吸症候群の原因3「扁桃肥大」

睡眠時無呼吸症候群のもうひとつの原因が、のどの疾患です。扁桃の肥大によって、睡眠時に気道が塞がれてしまうのです。扁桃には、のどの突きあたりの上の方にある咽頭扁桃と、口蓋扁桃があります。

睡眠時無呼吸症候群の約20%が、口蓋扁桃肥大が原因です。もともと肥大している人もいれば、30歳以降に急性扁桃炎になって扁桃肥大の状態が長く続いたために、睡眠時無呼吸症候群になる人もいます。扁桃肥大が原因なら手術で扁桃を取ることで、睡眠時無呼吸症候群は改善します。

睡眠時無呼吸症候群の原因4「それ以外」

アレルギーやアルコールによって気道の筋肉が緩んだり、甲状腺機能低下、神経変性疾患、うつ病などの精神疾患などによっても、睡眠時無呼吸症候群になるケースもあります。

睡眠時無呼吸症候群の治療方法1「ダイエット」

自分でできる治療法としてはダイエットです。睡眠時無呼吸症候群の患者は太っているために、気道がつまってしまい無呼吸になりやすくなります。まずは、ダイエットで適正体重に戻すことが大切です。

睡眠時無呼吸症候群の治療方法2「手術」

扁桃腺などが肥大しているために気道を確保できない場合は、手術による切除などで気道を確保することも有効です。

睡眠時無呼吸症候群の治療方法3「CPAP」

睡眠中にマスクを装着して鼻から気道に圧力をかけるCPAP(持続陽圧呼吸療法)という治療があります。多く実施されている治療法です。簡単で確実に効果が得られますが、CPAP装置をつけていないと元の状態に戻ってしまうのが難点です。

重症の睡眠時無呼吸症候群の治療には、持続陽圧呼吸療法(CPAP)が多く使われます。CPAPとは、眠っている間に鼻につけたマスクから加圧した空気を送り、気道を押し広げることで閉塞を未然に防ぎます。一定の条件を満たすと、保険も適用されます。CPAPは効果が高いですが、対症療法のため根本的な解決にはなりません。

睡眠時無呼吸症候群の治療方法4「口腔内装置」

睡眠中に口腔内装置というマウスピースを口にはめて、呼吸障害を改善する治療法もあります。ただし、睡眠時無呼吸症候群を必ず防げるわけではないのが難点です。どちらにせよ、まずは体質改善を行い、肥満解消をすることが、睡眠時無呼吸症候群を改善する根本的な治療方法となります。

「睡眠時無呼吸症候群」は本人が気づきにくいのが特徴です。もし、自分の周りで大きないびきをかいて眠っている人がいたら睡眠時無呼吸症候群かもしれません。必ず本人に病気の可能性があるよと伝えてあげましょう。

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