「家庭医」は日本の医療を変えるカギ

「家庭医」をご存知でしょうか?聞いたことがあるようで、改めて聞かれるとよくわからないという方が多いかもしれません。大まかに言えば、ケガから病気、原因がはっきりしない痛みや、女性ならではのトラブル、時には心理面まで面倒を見る、総合かかりつけ医といったイメージです。専門医と何が違うのか、なぜ、今「家庭医」に注目すべきなのか、自らが家庭医を名乗る小坂昭文さんはその必要性を訴えます。

来院動機は人それぞれ

風邪を引いたと診察に訪れる患者ひとつとっても、来院する理由は同じ人はいないと、小坂さんは指摘します。接客業の人なら「お客さんに風邪をうつしたら大変」と心配して来たとか、トラック運転手なら「咳で夜眠れなくて、運転に支障が出てしまうんじゃないか」と懸念して病院にかかったなど、職業によって来院の動機は違うというわけです。

心まで診る家庭医の仕事

家庭医は、そうした患者ごとに異なる事情や心理状態、それまでの病歴をかかりつけ医の立場から見極め、病気の治療だけでなく、心理面のわずらわしさや不安を取り除くことにも努めると、小坂さんは言います。なぜなら、それがより根本的な治療になると考えるからだというわけです。「あなたがかかっている病気だけでなく、あなた自身を診る。それが私たち家庭医です」(小坂さん)。

求められる広い知識・能力

病気を超えた、患者のすべてを診る家庭医に求められるのは、広く総合的な診療をするための技術、臨床能力です。風邪や胃腸炎など、誰もが日常的にかかる症状「コモン・ディジーズ」を、内科・外科を問わず網羅することになります。これにより、各専門医では見つけられなかった病気を発見できることもあるそうです。

専門医の盲点を補う

専門医は、専門の臓器を見て最新の治療を施す力がある反面、専門とする部位ばかりに視野が限定されがちです。小坂さんは、そこに落とし穴があると指摘します。家庭医は横断的な広い知識から、複数の臓器の関連性を意識して診察し、専門医の盲点をカバーする問題を発見、その場で施せる治療をした上で、適切な専門医を紹介するという手順を踏むことができるというわけです。

光る“プロの診立て屋”の存在

「家庭医こそ、医療現場の最前線にいてこれからの医療を支える存在になる」と断言する小坂さん。ますます高度化する医療現場で、別名“プロの診立て屋”と呼ばれる家庭医の存在がいかに重要か、その一端がその言葉から伝わってきます。 参考書籍:小坂文昭著「ムダな通院を減らすたった1つのこと」(BYAKUYA BIZ BOOKS刊) 筆者プロフィール 足立謙二 時事通信記者を経てフリーライターに。雑誌「昭和40年男」、ねとらぼなどエンタメ系サイトなどでサブカル、アニメ、特撮などを中心に執筆。Twitterアカウントは@adaken