家庭医が考えるサプリと偏食

日本人ほど健康への知識欲が旺盛な国民はいないと言います。テレビの健康番組は人気化しやすい傾向にあり、街の書店では健康関連書籍コーナーに大きな面積が割かれがちです。しかし、そうした知識は、実際どこまで必要なのか?ここではサプリの正しい知識と偏食について、こさか家庭医医療クリニックの小坂文昭さんのアドバイスをもとに見ていきましょう。


国民の半数近くが「飲食している」

健康関連市場において、近年急速に拡大しているのがサプリメント、いわゆる健康食品です。皆さんも一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。ある統計では、サプリメントが「健康によい」と答えた人は59.4%、実際に飲食している人は「よく飲食している」「時々飲食している」を合わせて42.2%という数字が出ています(「平成26年版厚生労働白書」)。

場合によって害になることも

しかし、サプリメントの効果が実証された研究は今のところないと、小坂さんは指摘します。むしろ、摂取法によっては体に害を及ぼすことさえあるようです。その一例がβカロテンです。緑黄色野菜や果物に含まれる黄色やオレンジ色の色素のことですが、摂取すると腸で吸収されてビタミンAに変わり、体の酸化を防ぎます。皮膚や粘膜の元でもあり、老化防止、アンチエイジングの象徴と言えるものです。しかし、このβカロテンを野菜から摂るのではなく単独で摂ると、膀胱がん発症のリスクが上がるという研究結果もあるそうです。

「食事で摂る」が基本

小坂さんは、栄養摂取のアドバイスの際は「基本は食事で摂ってください」と話すことにしているといいます。とはいえ、「じゃあ、何を食べたらいいの?」と言う疑問が出るのももっともですよね。その場合、小坂さんはこう答えているそうです。「なんでも好きなものを食べてください。ただ、偏った食べ方はしないでください」。

高齢者ほど糖質に偏りがち

食への興味が薄れがちな高齢者は、ご飯だけ、うどんだけなど糖質中心の偏食傾向が強いと言われます。その結果、動脈硬化や糖尿病の進行、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まると小坂さんは指摘します。糖質ばかりに偏るようなら、むしろカップラーメンを食べるほうがましかも知れないとも言っています。

薄れつつあるカップ麺悪玉説

カップラーメンといえば、偏食の代表選手のように思われがちですが、近年は企業努力によりだいぶ変わってきているというのです。小坂さんの見立てによれば、ビタミンB1でいえば、多いものでは、「日本人の食事摂取基準」(厚生労働省 2015年)に定められた摂取基準の3分の1にあたる0.46ミリグラムも含まれているものがあったとか。ただし、当然ですがカップラーメン一品だけで済ますのは避けたほうがいいとも言っています。スープを飲み干してしまうのも、塩分過多につながるので控えましょう。

参考書籍:小坂文昭著「ムダな通院を減らすたった1つのこと」(BYAKUYA BIZ BOOKS刊)

筆者プロフィール
足立謙二 時事通信記者を経てフリーライターに。雑誌「昭和40年男」、ねとらぼなどエンタメ系サイトなどでサブカル、アニメ、特撮などを中心に執筆。Twitterアカウントは@adaken

    
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