コラージュ日記を読む

植草甚一という人がいました。ジャズやミステリー、あるいはコーヒー、散歩といったものを愛した、文化的なディレッタントというべき存在ですね。植草甚一はアパートに住み、その部屋はレコードと古雑誌で埋まっていたそうです。そのような人物の一端をかいま見ることができるものが『植草甚一コラージュ日記 東京1976』(平凡社ライブラリー)です。


手書きだけれど読める

本書に収録されているのはペン字で丹精に描かれた手書きの日記です。手書きの日記というと書きなぐりのようなものも多いのですが、植草甚一の字ははっきりと読めますし、さらには切り抜いたいらすとなどが並んでおり、コラージュ作品としてひとつのオーラを出しています。

細かさが感じられる

植草甚一は原稿の草稿メモなどもていねいにつけることで知られており、日記もそのひとつであったといえるでしょう。普通、こうした暮らしをしている人は仕事と、それ意外の要素といったものが分けられているものです。それは文章とその人の人格が反比例的になるといったこともおわかりでしょう。しかしながら植草甚一の場合は、生活そのものがひとつの表現になっていたといえるかもしれません。実際に、彼は散歩の途中でさまざまな古本屋に立ち寄り買い物をするといったことを欠かしません。そうして少しずつ部屋の中にモノが増えてゆくのです。そうしたさりげない暮らしを彩ることの魅力の一端に触れてみてはいかがでしょうか。

    
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