奥深き古本趣味の世界

古本屋めぐりが趣味という人は、デジタル全盛の現代にあっても一定数います。人はなぜ古本屋へ行くのでしょうか。さらに断捨離といった言葉とは無縁の、読むはずのない本をなぜ積み重ねていくのか。そうした奥深い古本趣味の世界を描いた良作がカラサキ・アユミによる『古本乙女の日々是口実』(皓星社)です。


コミックあるある

本書では古本の奥深き世界にハマった若い女性の、日常が記されたコミックエッセイです。古本好きならば、つい頷いてしまう「あるある」が記されています。例えば、ちょっとした空き時間に古本屋を回ろうとする執念などは誰もが遭遇するエピソードでもあるでしょう。重い荷物に疲れますが、家に戻るとほっとした気分になるのもあるあるですね。

古本そのものへの愛

若い女性が求める古本といえば、どういったイメージがあるでしょうか。海外や日本の文学における好きな作家、あるいは写真集、漫画といったものが思い浮かぶかもしれません。しかしながら著者は、古本、さらには紙モノと呼ばれるものにも手を出します。絵葉書やカレンダー、あるいは昔のチラシ広告といったものまで、あらゆる分野を網羅しています。そこにあるものは、紙で記されたモノそのものに対するフェティッシュな愛情だと言えるでしょう。これは男、女、あるいは世代、といった属性を越えて紡ぎ出されている普遍的な古本愛、古本文化への讃歌であるとも言えます。

    
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