奥深き風景印の世界

インターネットのメールが普及している現在では、郵便を出す機会がめっきり減ってしまったという人も多いのではないでしょうか。しかし、届くまでにタイムラグがある分より深いメッセージを味わうことができる、郵便にはそうした魅力もあるのではないでしょうか。


郵趣の世界

そんな郵便を趣味とする人たちがいます。切手集めなどはよく知られているでしょう。さらには、スタンプに風景が入った風景印を集めている人たちもいます。そんな風景印にまつわるエッセイが松田青子による『東京 しるしのある風景』(河出書房新社)です。風景印はどこかの観光地などでもらえるものばかりではありません。東京23区の中においても、風景印を提供している場所は多くあるのです。

ふらりとした散歩

著者は風景印を求めてふらりとしたお散歩に出かけます。郵便局は日曜日がお休みのところがほどんどですから、平日の休みを利用した旅となります。それがより、のんびりとした雰囲気を醸し出すことになるのでしょう。著者の目的は風景印を求めることに集中しています。そのため郵便局の閉局時間との戦いにもなります。シンプルな筆致の中に静かな焦りと、著者のこだわりが感じられるのも良いですね。さらさらと読めるので、本書を読んだら、何かを集める、あるいは求める小旅行に出たいと思う人もいるかもしれません。目的のある旅の楽しさがわかる本であるといえるでしょう。

    
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