木造建築のおしゃれな設計デザイン〈室内〉

前回は、モデルハウスの立地条件、外観から玄関までの美しいアプローチをご紹介しました。
 今回は、収納の工夫によって作られる美しい空間や、窓から見える景色まで考慮されたこだわり窓など室内をご紹介いたします。


シンプルで美しい玄関

 玄関の引き戸を引くと、土間の空間です。
この家では、階段と2階の一部分、そしてこの土間だけ段差が設けられていて、その他はすべてバリアフリーです。
 玄関から上がってすぐのロビーでは、壁面に下駄箱をしつらえています。この下駄箱は、壁の隅から隅までぴたっとはめ込んだ造作家具で、さまざまなものを収納でき、収納棚のうえに季節の花や小物を飾って楽しむことができます。余計なものがなく、シンプルで美しいデザインです。

収納の見事さが「美」につながる

 窓や収納棚を設ける際は、壁の端から端までというようにして縦線を少なくすると、すっきりとして見えます。また、壁の面積を広くとってあると、対比効果により室内が広く見えるという効果もあります。
 玄関ロビーの壁面は、中霧島壁で塗られています。これは九州の火山灰を急速に冷却した塗り壁材で、外壁に用いるのと同じ素材ですが、粒子の大きさが異なり、室内にはより細かな粒子のものを使っています。

窓そのものがインテリアのアクセント

 玄関ロビーの突き当たりの壁一面に縦長のガラス戸があり、これが明かり取りとなって室内を明るく照らし、外の様子も見えるので開放感があります。また、窓そのものがインテリアのアクセントとなっています。
 窓の戸は三重構造で、網戸、ガラス戸、障子戸となっています。
 室内から外はよく見えるが外から見えにくい構造の網戸、一枚ガラスの特注品ガラス戸、障子は、あえて桟の細かくないものを用い、モダンな感覚を演出しています。

窓は引き込みが良い

  三層の戸をすべて開け放しても良いし、ガラス戸から庭を眺めるも良し、あるいは網戸だけにして外の涼しい風を取り入れるなど、室内での過ごし方に合わせて調整していただけます。
 三層それぞれに鍵付きで、しかも戸の上部に鍵を取り付けていますから、目立たず、防犯上もとても安心です。
 さらに、三枚の戸がすっぽり収まる引き込み式で、戸袋に収めると庭と一体化してすっきりとした印象です。

廊下は工夫の見せどころ

 長い廊下があると、そこを歩くたびに気分転換ができます。廊下に沿って収納棚を設けるというのも、空間の上手な使い方としておすすめの手法です。
 玄関ロビー、廊下、トイレも床面はテラコッタです。このモデルハウスはOMソーラーシステムを搭載しており、夏は涼しく、冬は暖かいので、足に心地良いテラコッタ素材を選択しました。

木材を適材適所に使い分け

 こちらのモデルハウスでは、手入れしやすいようにと、ハーフユニットバスを用いています。
 浴室と天井がヒノキ張りになっています。お湯を張ると空間の湿度が上昇し、ヒノキは良い香りを放ちます。その独特の香りに癒しの効果があるとされています。
 脱衣所と洗面所の床材、洗面台の周辺、引き戸の手が触れる箇所など、場所ごとに適した木材が適材適所に使い分けられています。

浴室・洗面台のひと工夫

 洗面台の前には鏡と収納棚があり、お風呂あがりに必要なものすべてがぴたっと納まっています。また、窓があるので明るい陽射しが射し込み、鏡に向かってするスキンケアやメイクがよりいっそううまくいくことでしょう。

2個室の隣接で空間を確保

 子供部屋として使うとちょうど良い個室が二つあります。
 その二つの部屋は、壁一面に取り付けた造作家具によって仕切られています。
 机、書棚、洋服を収納するクローゼットが作り付けになっていて、それが隣の部屋との間仕切りの役割を兼ねているのです。
 仕切りを取り外せば、広い一部屋として使うこともできます。家族構成により、使い方はいろいろと変化します。

窓から見える景色をデザイン

 北西角地は西日が強く、そうした環境に合わせて、山採りの木を使った植栽がなされています。低木、中木、高木とバランス、葉の色彩バランスも計算しつくしされています。
 玄関正面から、屋外ウッドデッキへと出ることができます。
 このウッドデッキには床の片隅にライティング器具が付いており、夜間は庭をライトアップし、四季ごとに美しい景色を楽しめます。
 窓から見る景色をデザインすることも心地良い家づくりの大切な要素です。

明るい寝室の作り方

 主寝室の壁一面に大きな窓があり、網戸、木製サッシのガラス窓、障子窓の三層構造になっています。
 この3枚を開け放てば、ウッドデッキとひと続きになります。室内の床面とウッドデッキの床面の高さが同じなので、室内にいながらにして庭で風に吹かれているような感覚を味わえます。
 日照や風のながれ方は、土地の向きによって微妙に異なりますが、建て方の工夫により、光と風と季節の匂いをたっぷりと取り込んでいます。

階段の「小窓」は圧迫感を減らす

 階段は、下三段は90度を3等分するかたちで設計施工されています。そして13段で上がりきり、会場へという造りです。
 ここにも
小さいながらも窓があります。窓を設けることにより、階段部分も明るくなり、また、圧迫感のない空間になります。

家事動線に沿った合理的な設計

 2階部分は、キッチン、ダイニング、リビングがひと続きになっており、リビングの向こうに、眺めの良いバルコニーが広がっています。
 室内干しスペースというのは、サンルームのようなもので、そこの一隅に洗濯機を置き、洗い終えたらすぐに干せるよう、物干しスペースが備わっています。1階の浴室横の洗濯機から、2階の物干し場まで運ぶのは大変です。そうした苦労を軽減するために、家事動線に沿った合理的な設計が必要です。

L型キッチンは家事動線に優れている

 家事動線に良いL型キッチンを採用しています。壁から壁へとジャストサイズに収まるよう、キッチンの空間サイズを調整しました。
 身長に合わせて、流し台の高さを調整し、湿気がこもりやすい流し台の下は空きスペースとして、ゴミ箱など置けるようにしています。
 料理をつくる人と食べる人が向き合って話のできる対面キッチンがいいというご希望は多いので、アイランド型の作業台も可能です。

対比は広さを感じさせる

 リビング・ダイニングの一隅に、2畳の小上がりがあります。リビングの横に6畳の和室を設ける間取りの家は多いのですが、2畳で十分です。
 大空間リビング・ダイニングに対して2畳の和室、という大小メリハリの利いた対比効果により、広い空間がより広く感じられます。

楽しみ方多彩なLDKの作り方

 リビング・ダイニングの空間は広いので、「広い・狭い」「高い・低い」「明るい・暗い」というようにメリハリをつけ、全体としておしゃれな雰囲気に仕上げています。
 室内の照明計画でいうと、間接照明を多用して、ソフトな灯りをあて、蔭りをつくり演出します。
 壁に造り付けたソファ家具もあります。寝転ぶことのできる奥行きがあることから、デイベッドソファとも呼びます。

屋根付きの見晴らし台

 幅3メートル半の大きな窓の向こうには、屋根付きの見晴らし台が広がっています。私たちはここを「インナーバルコニー」と呼んでいます。
 窓を開ければ、インナーバルコニーは室内の一部となり、明るく開放感に満ちあふれ半屋外空間になります。

「暮らし」の体験で家づくりのヒントを

 伊礼智さん設計によるこのモデルハウスは、建築雑誌をはじめとして、さまざまな媒体で紹介されました。
 このモデルハウスに宿泊体験していただく企画を実施し、大変ご好評をいただいています。
 実際に宿泊していただくと、朝晩の気温の変化など、見学だけではわからなかった体験ができます。

まとめ

 いかがでしたか?
 読者の皆さまの中にも、宿泊体験をご希望になる方がいらっしゃるかもしれません。
 実際に宿泊していただくと、朝晩の気温の変化など、見学だけではわからなかった体験ができます。「暮らし」を体験すると、自分の家づくりに生かすヒントが見つかるものです。

参考書籍『100年安心できる! 「いい家」の建て方』ぱる出版 著者:谷口弘和

    
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