住宅ローン契約前に知っておきたい! 住宅・マンションは「低金利は買いどき」という言葉の嘘

住宅販売の典型的なセールストークに、次のようなものがあります。

「金利が上昇したら、毎月の支払いが、いま買うより●●万円も増えてしまいます。だから低金利のいまが買いどきですよ」

しかし、低金利は買いどきというのは本当のなのでしょうか?


低金利は本当にお買い得?

たとえば、3,000万円を、月々均等払いの35年返済で借りる場合を考えてみましょう。金利2パーセントのときは、毎月の支払いは110,886円、35年間の総支払額では4,657万円ですね。

ところが、金利が4パーセントになったらどうでしょう。毎月の支払いは143,225五円、総支払額は6,015万円にはね上がります。その差は毎月、32,339万円。総支払額の差はなんと、1,358万円にものぼります。

「低金利のいまだからこそ、この住宅が買えるんですよ」

というセールストークには、言外に、

「いま買わないと、あなたはこのグレードの住宅に住めませんよ」

というニュアンスを含んでいるのでしょう。それにしてもこのセールストーク、あたかも真実であるかのように聞こえますね。

真実といえば真実だけど…

いや、真実には違いないでしょう。たしかに金利が上昇すれば、同じ額を借りたとき、毎月の住宅ローン支払額が確実に増加するのですから。いまのうちに買っておいたほうが賢い選択であるかのような感覚に、とらわれるのも当然でしょう。

ところがじつは、これこそが大きな落とし穴。このセールストークには、決定的な視点が抜け落ちてしまっているということに、私たちは気がつかなければならないのです。 金利が上昇したら価格は下がる 「低金利のいまが買いどき。金利が上昇したら、支払いが増えて買えなくなる」

会計学の視点から見ると?

じつはこれは、ものごとの一面だけを取り上げたお話にすぎません。会計学の視点から見ると、資産には「フロー」と「ストック」とがあります。「フロー」とは、住宅購入でいえば、住宅ローンなどの毎月の収支。お金廻りのことを指します。一方「ストック」とは、住宅ローン残高と住宅の資産価値(市場価値)、それぞれのボリュームと、双方のバランスのことを指します。

たしかに住宅ローンの支払いは「フロー」の視点から考えるべきものですが、「低金利が買いどき」というだけのセールストークには、じつはもう一面である「ストック(資産)」の視点が欠けています。本来は、金利が住宅の資産価値(市場価値)にどのような影響を与えるかまで含めて、考える必要があるのです。

この視点が抜け落ちたままの資金計画で住宅購入を決断し、不測の事態が起きた際に苦しんだり、破綻をまぬかれない家計は数多く見られます。

住宅購入における不測の事態とは、勤務先においての急な転勤や異動、また倒産やリストラなど、「購入時には想定していなかった事態」のことを指します。

低金利だと、たしかに住宅ローンの支払いは少なくて済みます。けれども同時に、この低金利が住宅の資産価値(市場価値)にどのように作用するか、考えてみたことはありますか? この視点を抜きに、低金利によるフローのメリットのみを説明しても、きちんとした説明にはならないのです。

不動産業界人はみんな知ってる

これはじつは、業界人であれば周知の事実です。にもかかわらず、その事実についてほとんどの不動産業者、そして住宅情報誌も住宅評論家も、けっして教えてはくれません。

低金利だからお買い得と安易に考えるのではなく、きちんと考えてから不動産のローンを組むことが大切です。

参考本

「住宅購入学入門(長嶋修)」

    
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